第235話:驚愕の食材に団長フリーズ

「と、ところで、その材料と言うか、

 食材は…」


「んとね、

 雑貨屋さんで魔物とかとして売られてたんだけど、

 外側を飛ばして中身の白い部分だけを食べるようにしてるんだ」


 精米って言う言葉、多分・・・いや確実に存在しないだろうから、精米って言葉を使わずに「炊飯」したって説明ムズすぎっ。


 当たり前に説明しなくても、御飯を炊いてた日本と、家畜の餌としての需要無かった異世界じゃあ仕方ないか?


 何にせよ、家畜の餌って聞いた団長さん目ん玉ひん剥かんかね?


 案の定、団長は白く旨そうな物体が「家畜の餌」として売られていると言う事実にフリーズ固まってしまった。


 ツンツンとわき腹をつついても固まった状態が解消される事がなかった。


「だ、団長さん?大丈夫?!」


 予想以上の反応だわな~。そりゃーそうか。


 今までは「家畜の餌」と認識されていたものを俺と言う存在が「喰える物」として加工しちまってんだもんな。


 しかしまあ…フリーズしたままの団長さんを置いて昼飯くわないと、時間内に食べ終われないとか…せぬ。


 仕方なしに動かなくなった団長さんを気にしつつ、ゴマ塩を咀嚼。


 それでも再起不能状態は解消される事なく、団長が「戻って来た」のは4つめを口に入れようとした時。


「リョータその・・・な」


「もしかして材料の名前?」


「あ、あぁ」


「正しい表現方法は知らないよ?

 記憶に残ってた言葉で良いなら

 白米はくまいって言うのを炊いたんだよ」


 転移者ってのを知ってる団長さんとは言え、他の目がある場所で「それ」を大っぴらに宣言しちゃうと「領主邸」に連れてかれて「鳥かごの中」状態になるのは見えてるから、最初に疑われた状態をキープさせて貰おーっと。


「は、は、白米…」


 それが何を意味してるのかを知ってるであろうディランではあるが、まさかの品が美味そうに仕上がってる事に戸惑いしかない状態なのだ。


(白米は人が食すには向いておらず、家畜や従魔の餌として売られているのは知っていたが、まさか…このように白く旨そうな品になるなど、想像もできん)


 残り1個と化しているリョータの握り飯。


 ごくり…と唾を飲み込んでいるのにリョータは気づいてしまった。


 やべぇかも。


 団長さん「1個、食わせてくれ」って言いそうな雰囲気なんだが…断固拒否…できっか?


「リョ、リョータ、

 物は相談なのだがな…」


「最後の1個、欲しいとか言うの?

 僕の昼ご飯を団長さんだからって横取りするの?!」


 これでパワハラされて食われたら、次回は自室に結界張って食ってやる!


「うぐっ」


 ぐうの音も出なくなった団長は、どうやらリョータが考えていた事を実行しようとしていたらしい。


 それを読まれ事前に阻止されては例え団長とは言え、許可を出した見習い騎士から食事を奪い取る事など出来る筈が無い。


 めっちゃ食いたそうな顔してんなぁ。


 じゃあ妥協案、提示してみっか?


「そんなに食べてみたいなら団長さん専用に用意するよ?

 希望する個数、ある?」


 そう告げた瞬間、団長は驚きと喜びの顔つきとなり、自分の胃袋に収まる個数を考え始めた

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