第133話:忍び寄る危険
人として化けたジャーチ…仮の名前で向かう。
万が一、何かしら聞かれた瞬間に、守護する門兵を声を出させず殺すつもりでいるのだ。
「さて、
オレが疑われた瞬間から街を襲撃する体制に入るのだが、
どれ程の猛者が存在しておるかだな」
ジャーチが知っている冒険者たちの最高位はSランク。
好戦的故の高さでもあった。
自己防衛の為に剣を持っているのは当たり前なので、攻撃される…などと思われない事も彼にとっての利点だった。
返り血が目立たぬよう黒づくめの恰好で街道を歩いていたとしても、
リッツェ近くの村へと到着したのは計画実行1日前だった。
* * * *
(さて、明日には子供らだけでなく街を蹂躙する訳だが…
冒険者ランクSが存在するのはギルドで確認できたな)
その情報を仕入れる事が出来たのは、出入り自由な小さな村にあるギルドを見つけたからだ。
登録上のランク最高位はSでは有るが、リョータは規格外のSSS。
その事実は秘匿となっており、ごく一部は彼がSSだと把握しているのだが、SSSとは思っていないのだ。
だから普通に門を守ったり親が子供を守るだけならば、冒険者ランク的にFであっても守れるのだ。
しかし
Fが集団で襲い掛かったとしてもSにはなれず、Sは数える程しか登録されていないため、奇襲を掛けられてしまえば間に合う訳も無いのは明白。
彼らが数人、駆けつけた所で街は壊滅状態、生存者すら皆無だろう。
じわり…じわりとリッツェに近づく…ジャーチ。
ほんの少し、違和感を感じたのは学校で授業を受けていたリョータだった。
(ん?!何だ?アヴェル…じゃないな…何処だ。
何処かの村からリッツェに来る途中の街道か?
上手い具合に殺気を隠してやがるがダダ漏れ)
【どうかなさいましたか
授業中ではあるが従魔を従え魔法を発動し、敵へと向かわせつつ自分も攻撃する、と言う事を行っている為、小桜が傍に控えてくれているのだ。
何処かの街道だと思うんだけど、殺気を上手い具合に隠してるつもりでいるんだがダダ漏れなヤツがいるんだよ。
【それは何かを討伐する為に探して殺気が漏れている…
とかではなく?】
うん、そう見せかけてはいるっぽいんだけど…いや~な予感、すんだよね。
【何か起きると?】
そうならなきゃイイんだけど…。
リョータの番が来た為、一旦、思考を授業に集中せざるを得なかった。
その事により、門兵が「殺されてしまった」事に気付くのが遅れ、孤児院の子供たちが狙われてしまう事になろうとは思いもしてない。
「リョータ君と小桜さん」「はい【アンッ!】」
リョータたちは魔法を使って敵を倒すのに魔法陣を使う事はない。
連携するならば念話を使って出来るようになってるからではあるが、阿呆と馬鹿に判らせる為、スムーズに連携すら出来る事を証明するのが先決だとばかりに、魔法陣で魔法を行使し、小桜と共に敵と見立てたハリボテを木っ端みじんにして見せたのだ
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