第134話:最初の犠牲(1)
リッツェとアヴェルの間を結ぶ街道上…商人や移動をする人々に交じって
魔物の襲来などを知らせる魔道具が存在するのだが、それすら発動させぬよう素早く切り捨てるつもりで動こうとしていた。
(これはこれは…多くの人がいる時間帯を選んで正解だったな)
リッツェで多くの人々が、朝から昼に掛けての時間帯を様々な形で満喫している様子が見える。
大きな荷物を抱え商売を始めようとする露天商人、子供の手を引き買い物をする主婦、馬車で移動する貴族、路地へと走って行く学校へは行かない年齢の子供たち。
大した防衛手段は無いな、と思ったジャーチは門兵を皮切りに、問答無用で学校までの道のりで目に入った人間を切り捨てる事と定めたのだ。
「ようこそリッツェへ。
住民カード若しくは冒険者カードの提示を・・・」
「ご苦労さま」
すれ違い様にナイフを心臓に刺して抜いたと同時に半身となり、左腰に携えていた剣を抜き、順番待ちをしてる商人と住民、旅行者を次々と切り捨てて行き、入り口の門は鮮血に染まって行く。
「きゃぁー」「だ、誰kっ」「たすけ・・・」
門を守る兵士は交代要員を含めて5人いるのだが2人が犠牲となり、騒ぎに気付いた残り3名も、魔道具で危険を知らせる事も出来ず、控えの部屋で応戦する事も出来ず倒れた。
「弱い…弱すぎる」
兵士のランクはAが多いのだが、SSの彼からすれば、もっと手ごたえのある猛者と対峙したいと考え、それならばと冒険者ギルドに向かいながら人々を切っては進み切っては進んで行った。
* * * *
同じ時刻、寮で自習の用意をしていたリョータは、異変をキャッチしていた。
「何だ・・・?
異変が起きたのか?
それとも魔物が入り込んだのか?」
【
「小桜、狼って鼻が利くよな?」
【えぇ勿論ですが…】
くん…と鼻を鳴らすと、アヴェルに向かう入り口方面から、血の匂いがする事に気付いた。
【アヴェル側の入り口が血に染まっているようですわ】
「はぁ?!
何で危険察知が反応しねぇんだよ!」
最大級の能力で危険察知を発動させると、多くの人々が斬り捨てられている様子が垣間見えたのだ。
「くそっ!
何かが襲来してるらしい。
小桜、俺がメモをお前に託すから領主邸に走って行き、
騎士の誰でもいいから引っ張って、
何か起きてると判って貰えるよう動いてくれないか?」
【主?!
もしかして1人で対峙しようと思ってませんこと?!】
「初めは1人でしか対応できないと思うんだ。
勿論、援護射撃の依頼は今から出すけどさ、
間に合わない可能性があるだろ?」
【まさか…
SSランク並みの魔物が襲来しているとでも言うのですか!?】
「その可能性は捨て切れない」
自習ではあるものの、多くの先輩や同期がいる学校ではあるが、実質的に動けそうなのは上級生だけだろう。
先生が危機的状況を把握して戻って来るまで、1時間は要する可能性がある。
となれば、それまで上級生とリョータで対応し続けなければ街が壊滅してしまうだろうと踏んでいるのだ
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