第135話:最初の犠牲(2)
門兵と往来にいる人々を次々、斬り捨てて行くジャーチ。
悲鳴を上げる事も出来ぬ状態で、斬られて行く姿を路地裏にいた子供が目撃し、自分の言葉を信用して貰えるか不安はあるが、これ以上、被害が広がるよりは…と俊足を生かしギルドへと駆けこむべく
「坊主、何処へ行こうと言うんだ?」
と声を掛けられてしまい、剣を突き付けられた状態で、動く事すら出来なくなってしまったのだ。
「っ・・・」
答えたとしても見逃して貰えないだろうと言う事は、雰囲気から読み取れる。
それでも隙が出来ないか?と虚勢を張ろうとした。
「中々、骨がある坊主だが
計画なしで動こうとは浅はかだな」
悲鳴を上げる事なく、勇敢にもギルドへと行こうとした子供が力なく、その場に
その様子を息を殺し目撃した少女が、絶対に気付かれては駄目だとガタガタ体を震わせながらも必死に耐えていた。
(どう、しようっ…
このままだと孤児院に怖い人が近づいちゃう!)
「確か、この先に孤児院があった筈だな。
子供らなら一太刀で蹂躙できるだろう」
血を落とす事なく剣を持ったまま孤児院に繋がる路地をジャーチが歩いて行く。
その背中が見えなくなって、ようやく身を隠していた少女が姿を現し、ギルドへと気づかれぬよう駆けて行く。
* * * *
リョータは職員室へ向かいつつ、教師の人数を把握して行った。
(くそっ!王城に報告へ行く日に合わせて襲撃を計画されてたのか?!
だったら残っている先生と上級生だけで対応できるか?)
職員室に到着すると、生徒が質問しに来たとしても対応できるよう、数人の教師が
「先生!リッツェのアヴェル側の門に異変を感じました」
「「「何だと?!(何ですって?!)」」」
「小桜が血の匂いを感じたので、
調べて欲しいんです」
「魔物の襲来なら連絡が来る筈だが・・・」
「もし、
その連絡を取れないようされてたら?」
「え・・・」「まさか・・・」
「知恵を持った何者かが襲撃…?」
「その可能性はないですか?」
先生たちを説得している間にも、人が殺され続けるのだが、説明しなければ動く事すら出来ないとリョータは判っているのだ。
「ないとは言えないな…
リョータ君は何が襲来してるか、
調べる事は出来るか?」
「調べてみたのですが遠いからか、
把握できなかったんです」
悔しさで唇を噛みしめるリョータ。
最大限の能力を使っても、何が襲来しているか判らなかったのだ。
(隊長さん、ドラゴンさんと一緒にリッツェに来てくれませんか?)
『どうしたのだ?
又、閉じ込められたのか?!』
(違います…
何か得体の知れないモノが街を襲撃しているのです。
弱い子供らを守りながらでは、
対応が難しいと思うんだ)
『何かが襲来?
判った。ドラゴンの王にも連絡を入れ、
我らが街へと向かうとしよう』
(お願いします)
「1年生に対応させるのは難しいな」
「えぇ。
3年生以上の生徒と魔法学校の生徒…
特に上級生に招集を掛けましょう」
魔術師と騎士見習い…それぞれの学校に在籍する上級生に緊急招集が掛けられ動く事となった。
「リョータ君は、
一足先に何が襲来してるかを把握してくれるか?」
「はい。
ですが、襲来している魔物か人を知らせる時間が無いかも知れません」
懸念事項を伝えたリョータは、小桜とゴマを伴い、リッツェのギルドを目指し走って行ったのだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます