第268話:すったもんだが、あったものの・・・

 概ね野営地にいる大人たちのリョータに対する印象は、すこぶる良いもので、連れて行かれる様を見送ってる背中に


「お前さんが寝付くまでは俺たち大人が見張っててやるから、

 安心して寝て良いぞ?」


 と声を掛けてくれた。


「ありがと!

 僕の従魔も見守ってくれるだろうから凄く助かります!」


 はぁ~~~~~~~~…と内心、長い溜息を吐き出してしまうのは仕方ないだろう。


 何せ「巻き込まれ度合MAX」で、今日までに何度も絡まれたり巻き込まれたりしてるのだ。


 フラフラと如何にも襲撃されて疲れました…とばかりな姿でテントに入って行ったリョータ。


 テントに遮音の魔法を施しベッドへとダイブ…即効で寝息を立てた。


~目撃していた大人たちside~


「・・・何だか見てるだけでも可哀そうなくらい、

 憔悴し切っていたな」


「あぁ。

 色々とトラブルに巻き込まれ続けて来たのかも知れない」


「それなら、

 あの疲れ具合も納得できるな」


「彼が望む事で俺らが出来る事があったら、

 手伝うか助力してやれば、喜ぶか?」


「その可能性はあるな。

 採掘場に来るくらいだ。

 何かしら欲しい品を知りに来た・・・しくは、

 採掘自体を学びに来たのかも知れないな」


「だったら俺らが教えられるし、

 望む鉱石があるのなら売る事も出来そうだな」


「まあ今は彼が、

 ゆっくり眠れるよう、

 俺たちで守らなきゃならんな」


「「そうだな」」


 様々な話し合いを聞いているのは外の護衛を任された小桜。


 中で疲れ切って夢の中へと入ってしまった主人に対して目覚めたら教えなければならないな、と心に留め置く事にした。


【(あるじは今まで様々な事柄で巻き込まれておりましたのに、

 ここでの扱われ方は概ね、

 良好と言えるでしょうかしらね)】


 何度となく阿呆に絡まれたと聞いていたし、絡まれる現場を目撃もしている。


 神様からも「大人になるまで巻き込まれてしまうだろう」と聞かされていたが、此処までとは思ってなかった。


 周囲の大人たちの監視があるとは言え、リョータから守りを託されている。


 大人たちからは寝ているように見えるが、周囲の監視を怠ってない小桜。


 そうとは知らない他の採掘者たちは、リョータのテントが誰かに襲われたりしないよう見張ってくれてる。


 グループが見張りの中心ではあるものの、個人も加わっている為それぞれが「そろそろ変わろう」と言っては見張りを常に2人体制に保っている。


 勿論、その中に小桜も入っているのだが、大人たちは「寝ている」と見えているらしい。


 しかしながら主人が悪く言われては…と音が聞こえた瞬間、キョロキョロと周囲を警戒し、大人たちにも「寝ているように見せかけて周囲を警戒していたのだな」と周知させる事に成功した。

 

 リョータの安眠は大人たちと小桜によって守られたのである

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