第14話:養子に欲しい理由が・・・
ハンナさんが退出し、領主と俺だけが謁見の間に残っている状態と化し、逃げ場が無くなってしまった。
いつの間にか執事は退出しているのが伺えた。
「さて、普通の話し方で構わないが、
君は異世界出身なのだろう?」
「へ?」(何でバレた?)
「何だ。私が何も気づいてないとでも思っているのか?
何かしら隠した状態だと言うのには気づいていたからな」
「・・・(マジか)」
「では、質問に答える形に変えるとしよう。
君は日本から来たのだろう?」
「違います」
転生だから違うし。
「即答?!じゃ、じゃあ日本と言う場所を知っているね?」
「知りません・・・」
嘘発見器とか無いだろうな?
「これも即答か。私の見立ては間違っていたのか・・・?
ならば後継者として養子に迎え入れるのは得策では無いかも知れないな」
俺には全てを聞き取る事は出来なかったが、どうやら養子に欲しい…そんなニュアンスだと受け取れた。
「あ、あの・・・」(養子にしたいとか何とか聞こえたっぽかったが…)
大魔法使いだと言われる領主だから自分の子供として俺を迎え入れ、魔法を学ばせ戦争に駆り立て「事故で死んだ」としても次を育てれば良いとでも思ってたんだな。
「ああ済まないね。私の婚約者を決めかねていた所に、
全属性を持った少年が保護されたと聞いたんでな、
私の後を継がせるべく養子に迎え入れたいと望んだ。
だが、望む条件に日本を知っている事と、
異世界から知らぬ間に来た事が含まれておるのだ」
こんな言い方されれば、記憶ないって事は伝わってるだろうから、詳しく聞いても良いよな?
「・・・ハンナさんから聞きましたが、
それは伝説に関係してるんですか?」
俺の場合、転生だけど知っておいても損は無いだろう。
「ああ、そうだ。私の先祖は日本から召喚された勇者だった。
彼の名は姫が残す事を望まなかった為に詳細は無いのだがな、
異世界から知らぬ間に来た事で魔力を存分に持っていたらしくてな、
魔法を教えたら次々と覚えて行き戦争となった時、
いかんなく発揮されたと伝えられておる」
やっぱ異世界から来た人はチート能力が備わるんだな。
俺は転生でも能力を持てちゃってるし(てか覚えられるようになってたし)。
「もし、僕が条件に当てはまっていたとしたら、
息子として生活するだけじゃないですよね?」
一応コレも聞いておこう。
「そうだな、魔法学校へは行って貰うし、
戦い方を学んで貰うのは間違いないが、
戦争に駆り立てるつもりは無い」
「だったら別に養子になる必要は無いですよね?」
「私が結婚しなくて良い方法だと思ったのが1つだ」
・・・この領主、馬鹿か?頭の中身、大丈夫か?!
結婚したくないから能力ある俺を欲しいとか馬鹿だろ。
「そんな理由で養子にされると聞かされたら、
異世界から来た人がいても、拒否するでしょうね」
「なっ!?ふ、不敬だぞ?!」
「断罪するならどうぞ。
僕は異世界から来た訳ではありませんし、
普通の会話で良いと言ったのは領主様です」
「むっ」
正論で返したら無言になったぞ?じゃあ一気に追い込みますか!
「僕は養子になるつもりも、
ここで魔法を学ぶ事もしたくないです。
異世界から来たと言うのだったら、
理不尽にも別の場所から強引に呼ばれてしまい、
戻る事も許されぬ中、魔法を学ばされ、
討伐に駆り出され、
挙句の果てに魔王を倒せと言われたら、心も折れます。
だけど、
呼ばれた理由を聞かされたら怒りに魔力を暴発させ、
屋敷が壊されても仕方ないですよ?」
「・・・」
ふふふ、勝った!
まさかの理由が俺に勝機を導き出してくれた。
これなら魔法は覚える事が出来なくても自力で習得してやろうじゃないか。
「僕、帰っていい?」「あ、あ・・・あ」
言質とったどー!って事でドロン・・・は出来ないから許可を貰うまでは待機するか。
でも…お姫様だっけ?勇者様の名前を残したくないって思った理由…何だろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます