第15話:権利ゲット!

 何とか領主の養子になると言う事を回避できた俺は、そのまま待たされる形になってしまう。


流石に家令…執事が「このまま子供を放置する」のは領主として良くないと判断してくれ


「・・・旦那様、いい加減に彼を開放するなり、

 ハンナ嬢を呼び戻すなりしませんと、

 彼の精神的苦痛が終わりませんぞ?」


 と言ってくれ、領主が「はっ!今思い出した」と言わんばかりの顔をした。


 ええいい加減にせぇよ?領主様。


「す、すまぬ。

 すっかり存在を忘れておった。

 リョータと申したな」


「・・・はい・・・」


 忘れるとか有り得ないし、存在感が無いなんて信じられねぇ。


「家名がある理由は記憶に残っておるか?」


「・・・いいえ・・・と言うよりも、

 家名を何故、持っているのかすら覚えてないんです」


 当然、聞かれると思ったんだよな、苗字の事。


 平民だと家名を持ってないのは小説で普通に描かれているしな。


「ステータスが判明しているから冒険者として登録も可能ではあるが、

 我が領としては、

 そなたを他領へ行かせたくないのだが・・・」


「・・・魔法が使えるか使えないかすら覚えていないので、

 魔法を覚えたいとは思いますが定住したいとは思いません」


「くっ・・・」


 ざまをみろ・・・だな。


 俺を囲い込もうとした態度を悪印象として捉えられている、と判ってるだろうから、そんな反応したんでしょ。


「他の地に赴いて自由に魔法を覚える事が出来るのならば、

 そちらに向かいたいと思います」


 子供なりに拒絶反応している風を装えば、領主と執事が顔を真っ青にさせてる雰囲気が見て取れる。


「ちょ・・・ちょっとリョータ君?!」


 いつの間にか呼び戻してくれたのだろうか、それとも来てくれたのだろうか、ハンナがリョータに驚きの声を掛けていた。


「ハンナさんには助けて貰ったけど、

 この領を守る領主様を信用できないよ。

 僕は魔法を自由に学べる場所があるなら、

 そっちに行きたい!」


 あからさまに「ガーン」と言う効果音が似合いそうな顔したって無駄ですよ領主様。


「・・・そんなに印象、

 悪くするような事を言われたの?」


「うん!僕を養子にしたい理由がね・・・

 「い、言わないでくれ!頼むっ!!」

 え?」


「我が領地に縛る事をしないから、

 どうか言わないで欲しい」


 うわぁ・・・、どんだけ婚約を避けたかったか判る気がする。


 流石に領主が独身を通しまくるのは体裁が良くないだろうからね、それを年齢しらないが、ここまで引き延ばした状態だったんだろうからな。


 そんな時に能力的に伝説級な子供が現れたって聞けば「養子にして結婚しなくてもいいように持って行きたい!」って事で孤児院には通達、してたんだろうな。


「じゃあ僕を養子にする話は今後、しない?

 魔法、自由に覚えられる?」


 これで駄目って言われたらリッツェ以外の領地に居座る事も考えて、他国に行く事も頭に入れた方がいいかもな。


「く・・・判った。

 二度と養子と望まぬし魔法を覚える事も許可しよう」


 やったぁ!魔法を覚えられるし養子話は無くなった!!


 強制的に何かさせそうになったら養子にしたかった理由をバラす・・・とでも言えば押し付け出来ないだろ。


 これで自由に過ごせる権利と学べる権利をゲットだ・・・言っちゃ駄目なやつ。


 初めの内は孤児院を拠点にせざるを得ないだろうけど、宿で宿泊できるんだったらしたい。


 この世界を勉強するの楽しみだな!


 確か身元不明な孤児でも学校には通えるんだよね。


 ハリポタみたいに箒に乗って移動…は出来るだろうか?梟を使役って言うのだったっけ、郵便配達してたよな(ハリポタは…だけど)。


 魔法の杖もって詠唱して魔法放って敵…じゃないな、ここだと魔物?に放つ…リアルRPG(ロール・プレイング・ゲーム)が楽しめる!よな?


 ちょっとだけ…不安になってきた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る