第2話:いきなり迷子?!
「さて・・・と、
ここから移動しなきゃ何にもならないか」
周囲を見渡しても「けものみち」も見当たらなければ人道も見当たらない。
ただ
その状況を打開するには動いて水場を見つけなければならない、と考えた。
「川が流れていれば、
海に繋がってる可能性もあるし、
人家が近くにある可能性も出て来るかな?」
サバイバル知識なんて持ってる訳では無いが、迷ったら川を探せ。
と言うくらいだし、何かしら情報があれば助かるとの思いだった。
「今まで読んで来た小説の転生モノは、
神々が謝罪するパターンとか、
手紙を託すパターンとかあったのにな。
俺、何もなく放置かよ」
多少の知識を貰って、その世界になじむ・・・なら判る。
何の情報も知識も無しに「放り出されたら」どうすればいいんだよ。
自力で「どうにかしなければ」ならないとか、
「とは言え、
ここが危険な場所だと困るよな。
武器・・・と言っても落ちてる石を投げるくらいか」
子供の手で投げられる重さ、大きさの石を右のポッケに5左にも5入れて合計10個、持つことにした。
「取り敢えず空・・・は葉っぱで見えないか。
だったら風・・・は吹いてねぇ。仕方ない」
行く方向を定めなければならないのだが、道しるべとなる太陽も望めなければ風が吹く方向を見極める事も出来ない為、落ちていた木が倒れた方向に進むつもりで枝を持ち
「よっ・・・と」
立てて倒れた方向は左だった。
「んじゃ人に逢えるとイイな」
そんな「軽~い」気持ちで歩き始めたのだった。
* * * *
感覚的に歩く事数時間・・・スマホで時間を確認すれば良いのだろうが、持ち運びできるバッテリーを今日に限って持ってなかった。
なので省エネさせる為にスマホで時間を確認する、と言う行為を控えた結果、感覚的な時間経過しか把握できない状態だった。
一向に人の気配も水の気配もなく、徐々に周囲が暗くなって行く風景に不安を覚え始めた。
「何で?何で人里に行けないんだ?」
子供らしからぬ言葉遣いだが、仕方ない。
つい先ほどまでは35のアラフォー、直ぐに子供の話し方が出来る訳が無い。
(どうすっか?大声出して助けを求めたとして、獣がいた場合は、子供がいる事を知らせてしまう。かと言って、このまま森に居続けても危険は危険・・・)
「・・・子供?おい坊主、迷子か?」
そんな声が頭上から降って来て
「う・・・うわっ?!な、何!?」
と腰が抜け尻もちをついてしまった、と同時にポケットに忍ばせていた小石が、バラバラと出て何も入れて無い状態に戻っていた。
「もう!
どうして子供あいてに頭ごなしで
声を掛けるのですか?!大丈夫?」
どうやら男性だけでなく、女性もいたようで、心配そうに腰を落とし同じ目線になってくれた。
「う、うんっ・・・びっくりしただけ。
お姉さんだあれ?」
と言葉では言っているが内心は
(うわっ、ハズイ・・・。子供の話し方って、こんなに恥ずかしかったっけ?ってか普通に会話できてるよ)
だった。
この時、言語に関して世界共通語のような事柄で、理解できるようになっていたのだろうなーと考える事が出来なかった。
「ま、まあ私をお姉さんって呼んでくれるの?
嬉しいわ。
私はハンナ、ハンナ・ブラウンよ。
君は迷ったのかしら?」
「ううん。気づいたら森にいたの。
ここが何処で何て言う国かも判らないの」
女性と男性は顔を見合わせて「記憶喪失か?」「判らないわ」などと話し合いを始めてしまった。
(まぁ「そう」なるよなぁ。普通なら此処が日本で浅草だ・・・とか答えられるのに、それが答えられないとなれば「記憶喪失」を疑うよね)
ハンナと男性の会話は、彼を置き去りにした状態で、未だ未だ続きそうな雰囲気が漂って「これ放置されてるけど安全なのかね?」と不安が募る事、間違いなしな状態だった
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