第289話:喜びの雑貨屋(2)

 を戻してくれて…と言われてもリョータとしては何が何だか、訳が判らない状態だ。


「実はね、わたくしたちの元に娘が生まれる筈だったのに、

 生まれたのは男性で、

 家族も見た目が男、中身は女など、

 受け入れられなくて廃嫡扱いにしてたの。

 でもね、昨日なのだけど、

 創造の神様から実は娘として生まれる筈で、

 天使の悪戯いたずらで男性の体に入れられてしまったのだと、

 教えて頂いたの」


 …なんつーか…。


 創造の神様に仕える天使が何を思って悪戯したかは判らんが、いくら何でも…そりゃ~…ねぇ。


「だからサミュエルとして名を刻まれてたのを訂正して、

 サミー・ファーガソン女性として登録し直す事になったのよ。

 それだけでなく、商人として有名なクロフォード様から、

 婚姻を申し込まれたと今しがた聞いたばかりなのよ」


「こ、こ、こんいんっ?!」


 話が進むの早くね?いや知ってたけど…知ってたけど時間かけて育んで行くとばかり思ってたからさ、この展開は予想外ってか「びっくり仰天」何だけど…。


「有難うリョータ。

 君が助言してくれたからこそ、

 奇跡的な光景を目の当たりにする事も出来たし、

 と一緒になりたいと、

 望む事が出来る」


「感謝しないでいいよ?

 僕…思った事を教えただけだもん」


 まさかさ…神様が性別を元通りにする…何て思わんじゃん?


 異世界にほんでは「性同一性障害」は病気の部類として認識されてる・・・んだっけ?適合性手術を受けられるようになってるもんねぇ。


 異世界こっちで同じ事が神様によって起こるとは…思わねえし。


「ふふふ。でも感謝はさせて欲しいの」


「う~ん…あの令嬢たちは?」


「「あ・・・」」


 令嬢たちの男性を見る目を知ってるからこそ「忘れてた」って顔になったのは仕方ないとは思うけど、昨日の時点では「彼」だった訳で今は「彼女」。


 打開策はあるっしょ。


「彼女たちは、

 サミーさんが元男性って知ってて手伝ってくれてた訳じゃ無いよ?」


「…どう言う事だ?」


「んとクロフォード様が目当てだよ。

 どっかの令嬢だろうから、

 あわよくば婚姻関係になれたらイイなって目で、

 お兄さんを見てたし…」


「い、いや…私の視線は常にサミーだった筈だが…」


「うん、それでも元男性だって事を知ってるなら、

 女性の体が有利って思ってる可能性あるでしょ?」


 物凄く納得した顔になったね。


「そう、だな。今日は来る予定だったか?」


「ええ…そうなると…

 この状況は…」


「どうして男性の姿をした女性と結婚など出来るのですの?!」


 あー…揉める案件の発生だわな。


「それは昨日までの事。

 サミーは正真正銘、女性だ」


「そんな事、信じられる訳ないでしょう?

 声だって昨日は男性が女性言葉を話すが如くでしたのに…

 たった1日で変化する筈が無いですわ」


「…あら、1日で変化する事ありましてよ?」


 不敵な笑みを浮かべたサミーが、反撃を開始していく。


「「え…な、何で女性の声なの!?」」

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