第195話:危機的状況を脱す
急ぎ過ぎて手元を狂わせ、折角入手した薬を無駄にしてはならぬし、1人1本の注射器を用意してはいるが、血止めの絆創膏を用意してない。
うわちゃ~…、何て言うんだっけ?献血とかインフル予防を打った時に小さく四角い絆創膏、貼るよね?あの名前しらんけど、これ魔法で血止め出来んかね?説明かもん!
【血止めは可能です。
ごく一般的な怪我の治療にも使います。
使う場合は口に出さず、
指先に
ふむ…確かにヒールは治療の意味、持ってたね。
ただ
まあ「いたら」その空間だけ眠って貰って光魔法、使いますか!
問題が発覚したら回避できる方法を探り、少しでも自分が「勇者」や「英雄」「賢者」や「聖人」と言われないよう導き出すあたり凄いとしか言いようが無いのだが、
聖女の末裔であるマリーさんと共に1の部屋へと入ると20代以上が3人、30が1、10代が1人と若い世代が苦しんで横たわっていたのだ。
マジか…俺と同じ世代が額に脂汗、かいてる姿は顔を背けたくなるな。
だが、この薬を使えば完治に誘導できる。
もう少しの辛抱だ、頑張ってくれ…とリョータは意識を「自分は医者」だと言い聞かせ、消毒液を浸した布を血管を探し、針を宛てゆっくりと抗菌薬を注入して行く。
ただ、
マリーさんが4人、担当してくれたからこそ1人「しか」対応しなくて済んだのだが、患者側に立てば「10歳の子供に治療を施される事」が治るとしても屈辱的な事だろう。
しかし、現状では「それ」しか方法が無く、この村で注射器を扱える人物はマリーを除けば亡くなってしまった人物の中にいると言う事は重々承知の上である。
使用済み注射器はブラッドさんが別の箱を持つと言う形で回収を手伝ってくれた。
「ブラッドさん、
危険だと判ってて
手助けしてくれるの?」
「・・・お前が身の危険を
関係した事のない村を救うと言うのに、
手伝わないと言う選択は無いだろう?」
「そう、だけど…
感染するかも知れないでしょ?
それなのに…」
「ま、知ってしまったからな。
10歳のお前が奔走してるのに、
おっさんが奔走しなくてどうするって事だ」
うおっ?!自分で「おっさん」言うなよ!
多分、俺の方が年上だぞ!
と言えぬのが苦しいが…うんバラしたらアカン。
1部屋の治療を終え、全ての部屋で苦しむ村人を半日かけて治療して行き、リョータは菌を殺す為、村全体に「殺菌」と言って魔法を掛け、新たな魔法を取得してしまったが、後悔は無かった。
今回ばかりは小桜から怒られても反省はしねぇ。
村長から何度も「ありがとう」と言われても自分が救った事は内密にして欲しいと、リョータが救ったのではなく、通り掛かった有名な魔術師の卵が魔法で治療して去って行った事にして欲しいと望み、その村で残された資料には名も告げず助けた事すら残したくないと望んだ勇敢な青年がいた、とだけ記される事となった(らしい)
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