第194話:治療開始(4)
患者の症状を鑑定し簡易的なトリアージを行う事にした。
その1番の理由は「感染拡大の阻止」であり、重傷者と軽症者を同じ空間に置きたくないとの思いからだった。
つくづく魔法ありの世界で助かったわ。
じゃなきゃトリアージなんて出来ねぇもんな。
テントの空間は屋敷が如く、多くの部屋が点在し、1人づつ隔離…は無理ではあるが、重傷者は重傷者で隔離が可能なくらいの部屋数がある為、リョータは酷い順に運び入れて貰う(勿論、鑑定を使ってAは1、Bは2のように振り分けた)。
部屋の入り口には番号を予め振っておき、真っ先に治療しなければならない人物を1、ある程度は急がなければならないが緊急性は低めの者を2、時間的余裕がある者を3、歩ける程の者を4とし、4に該当する人々にはマスクを作り出したと偽り渡し、手伝って貰う事にした。
人数が20人くらいで助かったかもな。
これが1000人規模だと俺だけじゃ無理だし、集めて貰う事も難しかったかも知れねぇもんな。
作業する空間として用意した場所でボックスに死蔵していたプラを加工し、注射器を作って行く。
あのダンジョンでプラがドロップしてくれて助かったわなぁ。
じゃなきゃ丸々、
転移だろ?!って隔離されてた可能性もあったりして…怖っ!
こう言う緊急事態が起きると「国境なき医師団」ってホント凄いと思う。
医療道具や薬品が少ない中、多くの命を救うべく奔走してるもんなぁ。
尊敬しか出来んけど…自衛隊も危険と隣り合わせなのに人命救助してくれてたもん、ホント「ありがとう」だわ。
リョータの「思い描けば作れてしまう」魔法を駆使し、日本で見かけるのと遜色ない品を20以上、作り上げた(勿論、注射針は「作れねぇよな?」と思った瞬間に作れている)。
注射器、注射針を何故かプラスチックで作れてしまってはいるものの、今はペストの完治が先であり、謎解きは後からでも出来るかと注射器を運ぶための器と言うか箱と言うか、そのような品をも作らなきゃなと思い、残った素材を使って箱を用意し、マリーさんが待機してくれてる場所へと向かう事にしたのだ。
* * * *
「あ、マリーさん。
注射器と特効薬を用意できましたよ」
注射器を作る前、スマホからストレプトマイシンと、長ったらしい名前の薬を10個、用意した。
1人にどれくらい使うか判らなかったからではあるが、足らなかったら困るので、余分に10、合計20購入しておいたのだ。
万が一、足らなかった場合は起きてる人物に「催眠術」で「眠って」貰い、光魔法を直接、患部に照射するつもりではいる(勿論、テントには不可視の魔法をかけて、だ)。
「1番目の人々から接種、
して行けば宜しいかしら?」
「そのままでは感染する可能性があるから、
これで口元を隠して、
入る前にコチラで手を消毒して」
ヤバイやばい。
子供らしい言葉遣いを意識しねーと大人な言葉遣いになっちまう。
1人に注射を施すのに、どれくらいの時間を要するかは現時点では不明ではあったが、リョータの全職業適性と言うイレギュラーな特性を生かし、2名体制で20人の治療を行って行くのであった
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注釈:あくまでも異世界での事柄であり「ズブの素人が医療行為」を行う事は、日本の法律では罰せられます
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