第328話:温泉施設完成へ

 多孔石たこうせきを10袋分、貰ったリョータは魔石の合成(?)そっちのけで山頂付近に作ってしまった温泉施設の排水関連を完成させるべく、テントに戻ったと見せかけ、転移していた。


「ナビさんや、貰った量での浄化で大丈夫か計算、出来る?」


『少しお待ち下さい……計算して十分であると確認出来ました』


「量的に十分と言う事は、置いて行く感覚は?」


『そうですね…2歩くらいの幅で大丈夫かと…』


 2mくらい…って事か。


 ナビから聞いた情報を参考にして、多孔石を置こうとして


「しまった…外から入れる方法って無いじゃん」


 と思ってしまったが、次の瞬間には


「これって琥珀なら持って入れないか?」


 と次なる方法を模索できてしまう。


 そして影から琥珀を呼び出し


「琥珀、この袋を此処から川に向かって伸びてる通路に、置いて行けるか?」


 と運んで欲しいと願い出た。


<置いて行く方向としては山側から川側に向かって…でしょうか?>


「うん…一応、通れるとは思うけど…入ってみて持ち運べるか確認してくれる?」


<お任せ下さい>


 作る時に考えた広さ的には下水道クラスには、したつもり。


 だが、見て掘った訳ではなく、感覚で掘っただけで、確認はして無いので不安しかなかった。



* * * *


 数分後、戻って来た琥珀は


<ご主人様、持って移動する事は可能そうです>


 と持って行けそうだと太鼓判を押して貰えた。


「だったら何往復かして貰う事になるとは思うけど、お願いしてもいい?」


<どれくらいの感覚で置いて行けば宜しいでしょうか?>


「うーん…琥珀って俺の魔力の位置って把握できるんだっけ?」


 次なる懸念は置いて行く幅…琥珀が歩いて行く幅では小さすぎるし、リョータが琥珀の位置を検索サーチで探りつつ「此処」と指示するのは面倒。


 ならば上から琥珀に自分の魔力を感知して貰い「其処そこ」と伝える事が出来れば、簡単では無いものの、把握して置いて行く事は出来そうだと思ったのだ。


<勿論、出来ます>


「じゃあ…琥珀がコレを置いたとして此処に戻って来れる?」


 リョータが立ってるのは男湯の方での排水溝で、比較的大きく作った場所。


 今は格子などを嵌めて無い状態なので、排水溝から下水溝へ降りて行くには「もってこい」な状態なのだ。


<大丈夫です。かなりの広さをゆうしてたので、品を置いて取りに戻るのも容易いです>


「そうか、だったら此処に袋を置いて俺は、最初の場所に立つから、置いたら念話で伝えて?」


<次の品を置く場所に移動して、次々、置いて行く…と言う事ですね。

 承知しました>


 琥珀が空間に入って行くのを確認して外に出る。


 川に一番近い場所まで駆け足で向かい、琥珀からの念話を待って設置し、全ての多孔石たこうせきを動かない状態で固定する事に成功。


 念願…ではないかもしれないが、リョータに取っての念願は叶う事となった瞬間


「ありがとなー琥珀~♪」


 と空間から出て来た従魔を労い、完成した施設の足りない品を作る算段を考え、不可視の魔法を掛け、テントへと転移で戻って行ったのだった

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