第62話:意地悪な冒険者(1)

 ティングの検問所?みたいな場所は、アヴェルよりは厳重に調べられている様子が垣間見えた。


 あれ?アヴェルより厳重だね。


【そうですわね、恐らくですが王都に近いからでは無いでしょうか】


 あ~王都に近ければ近い程、爵位持ちが多くなり、治安がイイ代わりに盗賊たち多くなって来るって事か。


領地が例え距離的に離れていたとしても警戒するに越した事はない、と言う考えで警備が厳しんだと思った。


 ギルドカードを見せるのだが、ここでは詳細までは見れない仕組みになっているようで助かった。


「珍しく小さな冒険者が来たな」


「え、そうなの?

 学校が始まるまでは色々とみておきたくて旅してるんだけど、

 そんなにいなかったんだぁ」


 どんだけ子供の冒険者がいないか判った気がする。


 片手に収まるくらい…いや指数本分くらいしかいないのかも知れないな。


「まあ討伐依頼は山とあるからな、

 レベル上げやら魔法鍛錬にはうってつけだろうよ」


「(マジか!やったね!!)Eクラスの依頼も多いとイイな」


 いかにもワクワクしてますと言う顔をすると子供好きなのか、破顔して


「なったばかりか…

 ここならランクが低くても倒せる魔物が多いからな、

 願った依頼もあるだろうよ。

 だが気を付けろよ?」


 と教えてくれた。


「ありがと!」


 門番に手をフリフリ、領地にあるギルドへと向かい、依頼が貼りだされているエリアへと向かうと、FからSSまで、びっしりと依頼が貼られていた。


 うわぁ…圧巻だなぁ。


 採集だけでなく低いランクでも討伐が貼られてるや。


 俺の今の身長は小学6年生の平均、130くらいではあるが、その見える範囲にすら討伐の依頼がある。


 アヴェルのギルドを見る事は無かったから判らないけどさ、リッツェと比べたら雲泥の差じゃん。


 俺の右横でお座りして見上げる小桜も感心しきり。


【確かに多くの依頼があると判りますわね】


 その中でも、やはり魔法の練習に最適で有ろう「スライム」をペリっと剥がそうと手を伸ばしたが、他の冒険者に先を越された。


 あぁ!俺の練習台がぁ…。


 ジト目で見上げると、ニヤニヤと笑うAランクがパーティで俺を囲んだ。


「子供がいっちょ前に討伐なんぞするんじゃねぇよ」


「あは!

 リーダーったら意地悪いんだからぁ~。

 でも、リーダーの意見にわたくしも賛成ですわ」


 典型的なフラグが立てられた気がしたが、折ってやろうじゃねぇか。


 瞬時に殺気を纏うと、Aランクと言うのにガクガクと足が震えているのが見える。


「へぇ…ここに来る冒険者でも、

 ランクがAになると優しくしてくれる人っていないんだ?

 リッツェとアヴェルはAとSSの冒険者が、

 優しくしてくれたのになぁ…ガッカリだよ」


 嫌味た~っぷりに吐き出すと、ギルマスらしき人物が俺の傍まで来て、剥がそうとしていた依頼書を絡んで来た冒険者から取り上げ、俺に渡してくれた。


 どう言う扱いでこうなった?

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