第113話:令息に仕掛けられる事柄は全て突破

 翌日から、授業時間と「授業以外の時間」に、マッシュから色々と理由を付けられては仕掛けられて行く。


「生意気だな」


 と言われて階段から落とされそうになるものの、逆に落とそうとしていたマッシュの友人が落ちそうになり、リョータが助けて感謝されたり、


「その問題はリョータに解いて貰ったらどうでしょう?」


 と先生からの質問に自分が答える訳ではなく、難しいと思われる問題をリョータに解かせ、恥をかかせるつもりで指名しても難なく回答を導き出し先生に褒められる始末。


 逆に自分の得意分野だと思っていた事柄を押し付けてもリョータに取って、彼の得意分野は日常的な事柄で何ら特別な事ではないのでスムーズに事を成し遂げてしまう。


 魔法構築の授業でさえ、先に入学していて有利なのにリョータから抜かれてしまったり、魔法陣を使って何かを召喚する事に関してもマッシュが魔物を召喚して混乱を招いてしまったのに対して、リョータが召喚したのは可愛らしい精霊。


 女子たちから「可愛い」と寄り付かれる様は許しがたかった。


(くそくそくそっ!!何で何で何で!

 こいつに弱点は無いのか?!)


 リョータの弱点・・・それは地球世界にしかいないアレ…ゴキで始まる生き物。


 それ「だけ」は嫌いでフリーズしてしまうのだが、異世界こっちでゴキを見た事が無い。


 ゲテモノと呼ばれる物も苦手ではあるが、エーテルディアにゲテモノと呼ばれる存在は皆無。


 だからこそリョータに弱みは無いのだ。


 あー…こいつ、とうとう攻め手を無くしたな。


【どういう事ですの?】


 ん~…普通ならさ、苦手な物を相手に押し付けて参りましたって、言わせる事が出来るんだけど、俺の場合は異世界からの転生でしょ?


【…ええ…そうですわね】


 異世界にしかいない生物が苦手だからさ、押しつけ出来ないじゃん。


【なるほど…確かに詰んでますわね】


 攻め手を無くしているのに気付いてないのか、次々と苦手では無い事柄をリョータに仕掛けては敗北して行く有様。


 やがてマッシュの評価が「残念」になって行った。


(最近、

 マッシュの奴が、

 同級生のリョータって奴に負けっぱなしになってるらしいな)


(あぁ、どうやら色々といじめを慣行してるようだが、

 ことごとかわしているらしいぞ)


(うわ~…最低な事してるからじゃないの?)


(最低な事は階段から落とそうとしたが、

 逆に落とそうとした奴が落ちそうになって、

 助けられたとか何とか言ってたな)


(何やってんだろうな)


 飽きれる声と残念がる声、そしてリョータに同情的な声が上がり始めていた。


「リョータくん、

 これ…どうやったら解けるようになるかな?」


「あぁ、これなら…こうすると…」


「まぁ!本当に解けやすくなりましたわ」


「リョータ、

 どう構築すれば良いか判るか?」


「これなら…こうだね」


「すげー…一発解決だ」


 今まではマッシュに質問して教えて貰っていた同級生たちが、リョータに教えを請い始め、全てが解決に至り、学業が伸び悩んでいた人々からの絶賛が止まらない。


 マッシュの堪忍袋が切れるまで、あとわずか

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