第112話:作った魔法陣は…

 ワイバーンが怪我を負い、俺に治して欲しくて来た翌日、魔法陣の提出となり、次々と同級生たちが可と不可の両極端に振り分けられる。


 こりゃー、ふざけて作った魔法陣は、駄目だって言われそうだね。


あるじが真面目に作らないからですわ】


 考えれば作れてしまう魔法を持ってしまったがために、コピーで異世界あちらにある魔法陣を「あたかも作りました」と言って提出しようとしている事に小桜は飽きれているのだ。


 全部が不真面目じゃないじゃん。


 肉球は100%却下されるだろうけど、他は許可を貰える可能性、あるでしょ?


【はぁ・・・いくらなんでも獣の足型を魔法陣として出すとは…】


 肉球「が」魔法陣の紙と普通に作った紙、そして能力でコピーしてしまった紙の3種をリョータの魔法陣として提出する為に先生の元へと向かう。


(どうせ日本語で作った魔法陣と肉球は却下だろうから、コピーに許可出てくれれば最高だな)


 全て不可の可能性「も」あるのだが、その場合は再度3種の魔法陣を書いてこなければならないのだ。


「リョータです」


 先生の前に3枚…魔法陣として出された紙が置かれ吟味される。


 ごくり…とリョータは唾を飲み込んだ。


(駄目だろうな)


「・・・3枚ともだ。

 凄い魔法陣を考えたものだな」


「へっ?!」【は?】


 いやいや、どうして「そう」なったんだ?


 肉球なんて絶対、魔法陣に見えんでしょーが。


 リョータの内心は戸惑いしか無かった。


「これ(肉球)なんて、単純で思い描きやすさがある、

 そして2枚目(日本語)は見た事が無いからこそ真似は出来ない。

 最後の1枚(コピー)は基本中の基本だから合格だ」


 何でしょうか。これもチートですか?ですよね?!


 若干・・・いや完全に呆けてしまったリョータは、残りの授業を「上の空」状態で受け、同級生から支給品のノートを見せて貰うハメとなるのは目に見えていた。


 だからこそ小桜は


【しっかりして下さいましね。

 主の同級生と言いましたか?

 彼らにノートを見せて貰わなければならない状態になりますわよ?!】


 と言って警告したのだ。


 うっ…。誰も友達なんていないのに…それは避けなきゃね。


 警告を受けたリョータは意識を残りの授業へ向けるべく、許可されてしまった3枚を収納するのだった。


 だが、3枚とも許可をされた事で、日本風に言う所の番長的な令息から目をつけられた。


(何故だ?何故、途中入学の奴が魔法陣を全部、描ききれるんだ?!

 何か特別な事があるのだろうか)


 マッシュ・ホワイトが睨んでいる事にリョータは「危険察知」が発動してしまい気付く事となる。


 あ゛~…目を付けられちまったな。


【あの令息ですか?】


 うん…鑑定かけたら自分が一番じゃないと気が済まないらしい。


【…狙いを付けられてしまいましたわね】


 そーだね、冬休みに入ったら一旦、森の自宅にこもるしかないか。


 本当なら学校の寮で寝起きし冒険者として依頼を受けるつもりでいたのだが、目を付けられてしまったがために、誰も来ない森へと避難しなければならなくなった

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