第303話:クロフォード商会
商業ギルドで、レイの屋敷を知ろうかと思って歩いているのだが、どうやら、その必要はなさそうな事が見え始めて来た。
「もしかしなくても…この馬車列って…」
警護がてらなのか、街を守る守備隊(?)のような様相をした、数人の人が見え隠れし、何かしらを積んだと思われる荷車…(だっけ?)を守るように付き従っているのだ。
近くに顔見知りとなった屋台のおっちゃ…げふん…お兄さんに
「何の列?」
と聞いてみた。
「ああ、あの列ならクロフォード商会の婚姻が決まった為、
必要な品々を積んだ荷車だ。
流石としか言いようがないが、
あそこまで手広く商いをやってるからこそ…
なのかもなぁ。
羨ましい限りだぜ」
との答えが返ってきて「何か…凄い人に交渉しようとしてないか?」と思ってしまったのは内緒。
でも待てよ?手広い…って事は、馬車を作る職人ともパイプがある可能性が無いか?
だとすれば暴走領主より、話が進む可能性も出て来るんじゃないか?!
荷車を追いかけて行けば一目瞭然か…と思って追いかける事にした。
* * * *
「そちらは布製品ですので屋敷内に運び入れ、
従業員の指示に従って下さい。
そちらの皮製品はこちらの倉庫に運んで下さい…」
テキパキと捌いている人物は、多くの荷馬車から降ろされる品を瞬時に把握し、
流石だなぁ…仕入れ先、なんて場所を見た事は無いけれど、品々を分ける仕事ってのはテレビなどで見た事はある。
それ以上に匹敵する動きをしている人物を感心するかのように見ていると
「あれ…?君は私とサミーを後押ししてくれた…
リョータ殿か?」
そんな声が後ろから聞こえ「え?」と振り向くと、満面の笑みを浮かべたレイが立っていたのだ。
「あ、改めて…婚姻おめでとうございます!
凄いなーっと思ってみてました」
「まあ婚姻の祝い関係は運び終えているけれどね、
商会の方は休む事は出来ないし、
信用を落としてしまえば…ね」
あ~納得だわ。商人って肩書だけで信用して貰える訳じゃないからなー。
「…もし、僕が何か持ち込んだとしたら…
聞いて貰えたりするのかな?
此処まで忙しそうだと…」
ゴリ押ししてまで持ち込みたいとは望まない。
神々から「急げ」とは言われてない。
出来れば開発の助力をして欲しいと言われただけ…とは言え、聞いて貰えなければ、開発どころでは無いだろうとも思ってはいるが…流石に自分で作って売り込んで…は違う気がする。
現地の職人を使って開発して貰い、普及して行き、更なる発展につながってくれれば御の字だ…と言う程度だとは思っているが
何に「巻き込まれてしまうか」判らないのだ。
「…何か持ち込みたいと思う事柄でも、
思い浮かんでしまったのかい?」
流石商人…そこに気づきますか。
「・・・うん・・・
祝い事で忙しいのは見ても判るけど…
リッツェ・ティング・アヴェル・ファニーに良いイメージ…
ないんだ」
盛大な溜息を吐いた事でレイは、彼(リョータ)が嫌気が刺す何かをされたのだと把握でき、屋敷へと招き入れ、話を聞く体制をとる事に決めたのだ
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