第302話:口説こうとする領主と拒否る子供~交渉決裂
目の前にいる子供をどうにかして手元に置き、大儲けしたいな…と思っている雰囲気を感じたリョータは、本格的なイラストを見せずに終わらせ、次なる一手を打つべく、レイ(サミーの婚約者)に相談してみるか?と思案し始める。
「そ、それでっ…この品を作ったとして…
どれくらい移動が楽になるか計算できているのか?」
「…そうだね…
その事を伝えたとしても、
暴走領主様には教えられないな」
「なっ?!何故だっ!」
「何故って…あからさまに僕の事、
囲い込み大儲けしたいなって顔に出てるけど?」
人の事を言えないリョータではあるが、それ以上に出てる、暴走領主に指摘したとしても、不敬にならないかな…と思っている。
「?!(何で気づかれた?)」
「…旦那様は馬鹿ですか?
表情に出さないよう指導させて頂いた筈ですが…
そこまで欲しいと出てる様を見せられてしまえば…
やはり教育的指導を再度、施さなければなりませんね」
セバスチャンは、主人の顔色を見ただけで、欲しいと望んでいると、気づける事に呆れてしまった。
「うぐぅ…」
「セバスチャン様、
僕が持って来た話は、
無かった事にして頂けますか?」
「「な、何で(ぇ)!?」」
「構いませんよ。
ここまで阿呆な領主では、
領民が幸福に暮らす事など難しいでしょう」
手元に置かれた見本のイラストを死守しようとしてる領主から、一瞬で手元へと取り戻し、訪問した事すら記憶から消そうかと細工し始める。
「セバスチャン様、
領主様たちの記憶…消していい?」
「…そのような事柄が出来るのでしたら、
お願い出来ますでしょうか」
「じゃあ消して帰るね」
リョータがティング領主の屋敷を訪問した…と言う記録は、執事と私兵だけが知る事柄となり、有益な交渉が得られなくなった「残念な領主」と言うレッテルが貼られた瞬間でもあった。
* * * *
「はあ~~~~~~~~」
いくら好戦的でもアレは無いやね。
訪問直後に襲撃して、あわよくば殺そう…なんて気で挑んでたもんな。
ティングは他国への移動で寄るくらいにしなきゃ、変なフラグ立ちそう…。
「さて、そうなれば…彼の家に交渉を持ち込むか?」
車を開発して貰うのに、交渉相手としては領主が良いだろうな、と思ってコレである。
ならば品を扱うであろう商人なら…?しかも信用が置けそうな商人…と思った瞬間に思い描いたのはレイである。
レイ・クロフォードは商人として有名らしいので、それならば希望の品を提案すれば動いてくれる可能性もある、と踏んでいる。
「でもなぁ…レイさんとサミーさんが婚姻する…
って事で忙しくなってないかなぁ」
一番の懸念は、婚姻関連の用意をする為に多忙となってないか?と言う事だった。
ダメ元で行って見るのはアリかな?と思い、商業ギルドでレイの屋敷が何処なのかを聞く事にしようと決断したのだ
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