第75話:野営先で思わぬ収穫

 異世界で調味料と言えば、塩と砂糖くらいしか無いのだが、ゴマがあるなら他も果実みたいに実をつけていないだろうか?と森を探索しながら野営地を探した。


「流石に見た目が違って日本にもある品、

 な~んて無…い…は…はぁ?!」


 リョータの視線が捕らえた果実は、見た目はプラムのようではあるが、大きさが違い色も違っているのだ。


 そして最大の違いが鑑定結果。


 プラムらしき品がカレー粉の実と鑑定に出ているのだ。


「・・・マジか…。これを擦ればカレー粉になるってか?」


 説明カモン!


~~~~~~~~~~~~

粉の実

・スパイシーな粉になる実

・日本で言うカレー粉

・辛みは粉の量で変化する

・1個では味は感じない

・2個で甘口くらい

・粉状にしてから使用

~~~~~~~~~~~~


 完璧カレー粉だ。


 大根おろし器みたいなのが欲しいけど、現状は持って無いってか探さなかったな。


 ある物で粉にしないとな~…洗濯板みたいな石、無いかな~。


            ポンッ…♪


「【あ…】」


 そうでした…思った品が作れてしまうんだった。


 近くにあった石に含まれていた謎の成分を使ったのだろう、手には「おろし金」を持った状態。


あるじ?いい加減、自覚なさいませ】


「・・・そうだね・・・

 自覚しないと次々、

 人が見てる前でも作ってしまいそう」


 無自覚チートと言う奴が、どれほど自分の身を危険に晒すかくらい、小説を読みまくってたから知ってる筈なのに、いざ、自分に降りかかると自覚ゼロ。


 誰もいない森だったから発覚はしてない。


 だとしても身を守るには隠すしかない訳で、自覚しなければ魔法すら生み出してしまう瞬間を見られる可能性すらあるのだ。


 反省したリョータは粉の実を10個…取り敢えず甘口から中辛、辛口になる量を把握すべく実験する事にしたのだ。



 * * * * *


「あー…包丁、買ってない」


 誰もいないのを良い事にリョータは、用意しなければならない品を次から次へと、魔法で生み出して行く。


 包丁、まな板、料理ハサミに果物ナイフ、粉を入れる器も作ってしまった。


 材料は全て森に「落ちてた」品々を土台にした。


「ちょっとヤリ過ぎた?」


【…言いたくはありませんが、生み出しすぎですわ】


 小桜は呆れかえっている。


 忠告したばかりだと言うのに多くの品を生み出したのだから、今後の事が心配でならない。


「今日だけ…今日だけは作ったのを使う。

 明日はティングで買い物した品を使うから、

 それで許してくれる?」


 許しを従魔に請うなんて有り得ない、と小桜は思うのだが、リョータが落ち込んだ顔をしていたので


【仕方ありませんわね。

 主が無自覚で作り過ぎた品は、

 誰も見て無い場所でなら使って宜しいですわよ】


 と暫定的な許可を出した小桜に、リョータは苦笑しながらも「判った」と答えたのだ

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