第221話:騎士の称号剥奪
団長の執務室に到着した一行は、リョータを囮にしてしまったAを立たせたままにし、駆けつけた副団長とリョータは団長の正面に腰を下ろす事になる。
「先ずはリアムはリョータと共に座ってくれ、
ヨセフはそのまま立っていろ」
ようやく駆けつけてくれた副団長さんがリアムさんで、馬鹿な事をヤラかした副団長がヨセフって名前だと知れたね。
処分を下すのが先…?
まあ報告の方は長くなるだろうし、それが妥当だろうな。
「ヨセフ、
君は何をしたか判っているな?」
「・・・はい…。
討伐実習中に強い魔物が現れ、
守らなければならない10歳の子供を囮に、
他の生徒を守ろうとしました」
「それだけではあるまい?」
「・・・事もあろうか子供を・・・
化け物と思ってしまいました」
「疑うだけなら厳しい訓練だけで、
留めるつもりでいたが、
リョータを前面に押し出し、
囮にしようとした事により、
副団長の任を解き騎士の称号を・・・
「そ、そんな!!」そんな…だと?」
団長は机の上で手を組み顎を乗せ、ヨセフを睨みつけた。
「それ程の事をしたと言う自覚が無いのか?」
リアムは信じられないとでも言いたげな顔つきでヨセフを見上げる。
そりゃぁ~そうだろうねぇ。
普通なら編入したばかりで、剣の扱いも正確には出来ないと思われる子供を囮にしておきながら、反省どころか何かした?みたいな顔してるもんね。
「じ、自覚と言われましても…
騎士の称号を剥奪されるような事は一切・・・」
「一切・・・ねぇ。
あわよくばリョータを殺す気で押し出していた事に、
気付いてないとでも思っているのかな?」
サー…と血の気が引いてるって事はぁ…俺、
うっわぁ…つくづくチートな能力が備わっててくれて助かったわ。
万が一、チートが無かったとしても緊急事態に陥れば、小桜を召喚するだけでイイもん。
両手は使える状態だったしぃ、足も動かせる状態だったからぁ「むざむざ殺される」事にはならなかったけどねぇ…その癖、騎士の称号を取らないでくれ、は流石に…。
「反論しないと言う事は、
認めると言う事と取らせて貰うぞ。
守らなければならない立場の騎士として、
やってはならない事をやったのだぞ?
それなのに騎士の称号を取られたくないとは…
有り得ないんだがな」
悔しくて拳を握りしめているけど、癇癪おこして切り付けに来ないかね?
まあ切りかかってきたら結界を張って防ぐとするか。
「くっ……いつさえ・・・
そいつさえ現れなければっ!!」
おっと、予想とは違う言葉だけど張るか。
「結界(小)」
瞬時に結界が張られ、リアムとディランそして自分を守る事に成功する。
「「なっ!?」」
結界に守られたとは言え、更なる失態を重ねるとは思ってなかった団長と
「騎士として、
あるまじき行動だと判っているのか!?」
ディランが結界を無視して飛び出し、ヨセフを拘束。
「・・・あ・・・」
今更ながら、感情のコントロールが出来なくなり、守る立場を忘れてしまった事を恥じ、称号剥奪に異議すら言えない状態と化してしまった
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