第201話:騎士科校舎でひと悶着

 編入案内が到着し、剣術を学ぶ為、騎士となるべく集められた生徒がいる校舎の入り口に立ったのは良かったが、何故か入り口を守る人からにらまれてしまう。


 何で睨まれなアカンねん(あ、大阪弁になっちまった)。


「こんな時期に特待生として入学する生徒など、

 皆無なのだがな…」


 一応さぁ、団長さんから来てくださいねって手紙、届けられてるから来たのにさ、これ…鉄拳ならぬ特別訓練される案件じゃないのかねぇ…。


 まあ訓練されるのは門を守る人たちだけだろうけど(ご愁傷様~)。


「・・・これ…届いたんだけど…

 違ったんだね」


 魔法便で届けられた騎士団長からの手紙を睨みつけてきた人物に見せたと同時に団長さんが背後に到着し、何故リョータが入れないようにされてるのだろうか、と腕組みして立っているのだ。


 うわぁ…団長さんが絶対零度な態度で立ってるけど、大丈夫かねぇ門番さん。


「怪しい手紙だ

 「私が彼に送った手紙を怪しいと言うのかい?」

 ・・・なっ?!

 だ、だ、だ、団長ぉぉぉぉぉ!?」


 一瞬にして顔色を青く…いや白くさせた門番。


 手にしていた手紙を「うっかり」落としてしまう。


「あ、団長さん。

 手紙ありがとうございます!

 それと書かれて無かったけど、

 問題と解答、持ってきたよ!」


 落とした手紙に目を向けながら団長さんは嬉しそうに破顔し


「そうか、

 お前が技術を身に付けた時が楽しみだよ。

 だが、その前に…

 騎士たるもの、

 手紙の重要性判っている筈だよな?」


 とブリザード猛吹雪(感覚的にではある)が、吹き荒れているように感じてしまい、俺でさえゾクリと背筋が凍って行く。


 嫌な顔つきになりつつも成り行きを見守る。


「も、も、も、勿論で御座いますっ!」


 判っていると答えてはいるが、足元はガクガクと震え、その場に座り込んでしまっても不思議が無いくらいに恐怖を味わっているようだった。


「ならば、足元にある手紙は重要ではないのかな?」


 震えつつ視線を足下に持って行く門番・・・丁度、裏面…つまりは騎士団長が出したと言う封蝋が押されているのが見える状態で、わずかながらも砂が付着してしまっている。


 ひゅっ…と息を飲む音が聞こえ、ガタガタと全身を震わせながらも手紙に手を伸ばし取ろうとしたのだが、その手を団長が踏みつける。


「ぎゃぁ!!」


 うわっ!!いってぇだろうなぁ(他人事だけど痛そう)。


「私が彼を迎え入れる為に出した手紙を・・・

 土にまみれさせたと判っているかね?」


「申し訳御座いません、

 申し訳御座いませんでしたぁぁぁぁ」


 涙を流し顔をぐしゃぐしゃにしながら、手を踏まれた状態で土下座する様は「ざまぁ」どころではない。


 騎士や門番・・・所謂いわゆる「守りに特化した仕事」に従事する者には容赦しないと言う事だろうとリョータはゴクリと唾を飲み込んだ。


「リョータ」


「は、はひぃ?!」


「書かれていたクラスへ行き、

 問題集などを先生に預けて欲しい」


「わ、判りましたっ」


 これから厳しい訓練が待ち構えているのが判っているのだろう。


 門番は指先だけで手紙に付着した砂を払いつつ、許しを請い続けているようだった

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