第202話:騎士科の教室は…

 団長さんに言われて校舎内に入ったはいいけどさぁ、これ…判るのかねぇ。


 年齢別だった魔法科と違うのか「A」と書かれている場所を探しながら進んでいるのだが、F~Sの順番らしく、もしかして…とリョータは「嫌な予感」しかしなかった。


 …まさか…だよな。まさかのランク別?


 そう言う訳ではないのだが、実力順である事は間違いなく、リョータが編入するクラスは「即刻、騎士として動く事も可能な実力の持ち主」に近い者たちが集まったクラスなのだ。


 Aクラスには学んでいる途中ではあるが、団長が認める実力を持った10歳の子供が来ると言う事は周知されていた。



* * * *


「一体、どんな子供が来るんだろうな」


「さあな。団長殿が認めるくらいの子供だ。

 足を引っ張る事は無いだろう」


「そうだといいんだがな…」


「流石にFから阿呆とは違うだろう?」


「「「・・・それな・・・」」」


 万年ビリ、最下位クラスのFから上がれないのに「自分は最高の実力を持っている筈だ!」と豪語するものの、最低の実力しか持ち合わせてない阿呆。


 騎士になるべく集まった者たちから呆れられている阿呆たちがいるのだ。


 剣術のテストが行われても新入生にすら勝てず、体力テストを行えば走り込みで最後尾をタラタラ走るだけ。


 剣は重たいだのナイフが短いから届かないだのと「自分の実力が無い」事を自覚する事なく、道具や教える騎士に問題があると言い続ける15歳…すなわち卒業「しなければならない年齢」なのに卒業どころか「留年」しそうなのは3人組で、それなりに有名だった。


「皆、席についてくれ。

 訳あって途中編入する事となった生徒が到着した。

 入ってきたまえ」


「・・・はい…(すんげぇアウェイ感)」


 ズラリと居並ぶ猛者たち。


 リョータが編入するには「あまりにも不自然」だと感じる程だった。


「自己紹介は省くがリョータは自分の剣を持っているか?」


「・・・冒険者として動く時に使う剣でいいの?」


 子供だから最上級の言葉遣いは求められないのだが、騎士になるべく勉強している者たちからすれば、冒険者と聞いて少しだけさげすむ視線を向けてしまう。


「ああ。刃を潰した剣は持ってないんだな?」


「うん、持ってないよ」


「今日は木剣を貸すから刃潰し剣を用意してくれ」


「わかったぁ」


 マズったかな?知らない大人に対応する言葉遣いじゃなきゃダメだったかも。


 すんごい形相で睨んでるやつがいるもん。


 概ね受け入れられてる感はあるものの、1人だけリョータの実力を疑う馬鹿がいるのだが、リョータに叶わないと肩を落とす事になるのは未だ先である。


「じゃあリョータは一番後ろの席についてくれ」


「はーい」


 何も持ってない状態だから「足を引っかけて転ばせて恥をかけばいい」とばかりに馬鹿が足を「こっそり」出すのだが、リョータは綺麗にスルーし足を出した馬鹿が笑われる結果になったのは言うまでもない(残念だね~<あっかんべー>)

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