第205話:閑話~問題児は恨みを募らせ・・・
自分より「実力が下」だと思っていた年下の生徒に試合を挑み、敗北を期しただけでなく、数々の問題行動が発覚し、退学扱いになってしまい、詰め所にて団長に抗議の声を荒げる問題児の姿があった。
「どうして私が退学扱いにならなければならないのですか!?
明らかに途中入学したアイツが何かしたしたからこそ、
私が負けてしまったのですよ?!」
「・・・それだけで、
お前が退学扱いになったと思っているのか?」
出来の悪い見習いほど冷めた目つきになってしまうのは当たり前で、今の状態のまま騎士となったとして、自分の命すら守れない可能性がある事に、気付いて無いのが問題でもあった。
「え?どう言う意味ですか?」
「途中入学扱いになったリョータが何かしたと言ったな?」
「は、はい」
「彼は
剣を持てなくなる事を避けてくれただけでなく、
大怪我を負わさないよう心配りまでしていたぞ。
それなのに貴様は正々堂々戦えと言ったり、
卑怯だと
一向に反撃の一打を打ててなかったでは無いか」
「うぐっ」
「基本的な剣術を持っていないリョータに負ける事自体が、
信じられんのだがな。
あのまま剣術を学んで行ったとしても、
騎士どころか冒険者にすらなる事など無理だ」
「どうしてですか!
私は剣術には自信が…」
「あるなら何故、
年下の彼に負けたのだ?」
「・・・・・・」
「負けた理由すら気付いてないだろう?」
「・・・」
悔しい態度を取っているが、反論する言葉は出て来ない。
何もかもが自分中心で、基準が自分だからこそ「強い同級生」に絡んで、負けては自分が勝利したように風潮し、「強くなる努力」をする同級生を
「自分より強い者を許せず、
自分より弱い者を
更には守るべき幼子に戦いを挑み、
負ける始末。
これで良くぞ騎士になりたいなどと望めたな」
問題児は元々選定の儀で、騎士と魔術師の2つを選択できると言われていた。
魔法で戦いたいと思っていれば、確実に能力が開花し、魔法を使いつつ剣で戦う事すら可能になっていただろうと言うのは、団長には判っていた。
だが彼が望んだのは騎士。
他人を「守れない者」に騎士としての働きをさせる訳にいかないのだ。
「今日限りで騎士として学ぶ事は出来なくなるが、
魔術師になるのなら、
試験を受ければなれるだろう」
何も反論する事なく、退室した問題児に盛大な溜息を吐き出す団長。
まさか彼がリョータを「殺す」べく動き、逆に「捕らえられ厳しい罰を下す羽目になる」とは思ってもいなかった。
(はぁ…。
やはり選定の儀では、
正しき判断は出来ないと見るしかないな。
リョータは全職業適性だと判明しているらしいが、
こんな稀なケースは後にも先にも無いだろうしな)
リョータの為に練習用の剣を用意するか、とリョータの自室へと向かい、町中の武器屋へリョータを伴い行く時、事件が起こる事となる
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