第226話:スライムとウルフ系の討伐

 自宅待機は1日だけで終え、翌日からは実戦が主な授業となった。


 基本的な事を教えれば伸びそうなFとDは、剣の持ち方から「やり直し」状態で、Bに至っては木剣を丸太に打ち付けると言う動作から「やり直し」てる(らしい)。


 リョータがいるAは、と言うと一昨日の続きとばかりに森へと分け入り、ウルフ系の魔物討伐を行おうとしていた。


「一昨日は一部の者はスライムすら討伐できなかったが、

 今日はウルフ系を討伐して貰いたい」


「い、いきなりですか?!」


 スライムすら倒す事が出来なかった一部の生徒が驚きを隠せず、思わず問いただした。


「確かにスライムを倒す事が出来なかった者が、

 いきなり少し上位となるウルフを倒せと言われれば、

 戸惑うのも仕方ないな。

 とは言え、下位の魔物を討伐して貰う者と、

 少し上位の魔物を倒す者に分けたとして、

 別行動を取る事によるリスクは、

 上位魔物に行く者の方が高いと思わないか?」


 そりゃぁ…上位種がいる場所に向かう者たちが、引率役である団長さんがいない状態で、それ以上の魔物…例えばクマ系とかが出たら対応、出来ないよねぇ。


「・・・確かにそうですね」


 流石Aクラスの騎士候補。


 候補じゃなかった者なら、もっと反論してただろうね。


 ただ1匹づつ襲撃してくる下位魔物なら怪我すらしないだろうけど、まあ見えない範囲で何かあったら団長さんの責任になってしまうもんなぁ、妥協策を提案するか。


「団長さん、

 上位と下位の魔物が混在する場所って、

 ないの?」


 混在する…と言うか稀な現象だろうけど、ウルフとスライムが同時に現れる空間って、ありそうなんだよね。


「・・・ああ、その方法もあったな。

 混在場所へ行けばどちらも討伐できる。

 早速、向かうとしよう」


 やっぱ「存在」したか。


 これならスライムを倒せずウルフと対峙(結果的にはリョータが倒したが)するしか無かった者たちの救済処置にはなるだろう。



 * * * *


 森の中央部に近い場所、そこに混在地域が存在していて、視線を向ければスライムが左に、ウルフは右に「縄張り」を持っている様子が伺えた。


 おお、ウルフに取ってスライムは「捕食対象」じゃ無いから、この状態が実現可能だったんだろうね。


「スライムを倒せなかった者は左地域に、

 混乱が起きる前に倒せた者は右地域でウルフを討伐して欲しい」


「結構な数がいますが、

 討伐頭数はあるのですか?」


「見た感じ、

 1人1頭くらいなら討伐可能ではあるだろうが、

 生態系を壊す可能性があるのでな、

 右地域に向かう人数の半分は討伐してくれ、

 残りの半分はウルフ系の討伐地域に案内するので、

 待機してくれると助かる」


「では待機班は周辺地域から強い魔物が襲撃しないよう、

 守るのはどうでしょうか?」


 流石AとSクラス。次々と団長さんが決断しやすい質問を出して行き、自分で判断してるね。


 俺も待機組に入る事になるだろうから、周辺気配に神経を向けておきますか!


 リョータの個人的飯テロまで後少し…

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