第11話:正装完成・・・だが断る!が出来ねぇ
保護されて3日目、オーダー服が完成したらしく、俺はハンナさんに呼ばれ食堂に嫌な予感がしつつ向かった。
謁見する時って、確か爵位がある人は燕尾服みたいなの着るよね?
大人は・・・だけど。
平民って描かれる事が殆ど無いし、子供って何きるのかね。
着用する服が「平民にしては立派」だと言う事は容易く想像は出来るのだが、目が点になるとは思ってもいなかった。
「待たせたな坊主!」
相変わらず名前で呼んでくれないブラッドさん…笑顔がまぶしすぎるんで嫌な予感しかしないんですけど?
「・・・一応リョータって名前があるんですけど・・・」
反論はしてみるけど、聞いてくれそうにないとか…
「
やっぱスルーしやがった(ちきしょう)。
盛大に溜息を吐き出した俺は、出された服を持って直ぐ近くの部屋(と言っても、シスターたちの休憩所のような場所)を借り、着替える事にしたのだが、広げた瞬間に大声を出さなかった俺を誰か褒めてくれ。
な、何じゃこれはぁ!!
どう見ても「領主の息子」とか「貴族の息子」って服だろーが!!
何してくれる、あの親父っ!!
ズボンは黒ではあるが、品のある造りで、サスペンダーみたいなのが付けられ、調整できるようになっていた。
それは「まだ」許せる
試着するだけで良いなら着るけどさぁ・・・絶対、似合わねぇ。
これにしろ、と言われたら「だが断る!」って言いたいけど、異世界から来たってバレるわな。
腹を括りズボンを脱ぎシャツを脱ぎ、用意されたズボンを履きシャツに袖を通しボタンを留めて行く。
着方としてはシャツの上にサスペンダーが来る形だろうな、とは予測してるけど…どうみても良い所のボンボンが謁見に行きますよ、な服。
どうして「そう」ブラッドさんが感じたのかまでは判らないけど、孤児院で記憶喪失な子供に「これ」を用意すっかね?
ハンナさんが用意してくれた孤児院の服装を持って、着替えの為に借りた部屋を出ると
「どうして、こんな服を用意したんですかブラッドさん!
お願いしたのは子供用の礼服ではありませんよ?!
なのに・・・どうして貴族の息子みたいな服装にしたんですか!?」
ハンナさんが俺の着替えた姿を見て怒った・・・と言う事は、想定外の服を用意されたって事か。
これじゃない服で行けるなら喜んで着替えるんだが・・・。
「い、いや・・・その坊主が・・・
王子様っぽく見えたんで・・・な。
余所行きでは失礼になりはしないかと思って・・・」
だからって想定外の服を用意しちゃ駄目な奴っしょ。
「もう良いです。
貴方の所で余所行きをお願いするのは
金輪際、ありませんから」
あれれ?もしかして良い所へ行くとか言うのを請け負ってくれてたのがブラッドさんで、ハンナさんは怒り心頭になっちゃった…で依頼を止めちゃうと…。
そりゃ「想定外な服」を持って来たんだから仕入先って言い方、するのか知らないけど、止めるって言われても仕方ないやね。
「まっ・・・待って・・・
ハンナ!そりゃ無いぜ?!」
まあ普通は常連さんが1件でも減らないよう手を尽くすのに、想定外の服で信用おとせば…ねぇ。
そうなるの判ってたでしょうに。
「約束を守らないような方からの求婚・・・
断ったって構わない筈ですわよね?」
あれま。ハンナさん、ブラッドさんから求婚されてたんかい。
それを俺が王子に見えたからって言って、注文してない品を用意されりゃー信用ガタ落ちだねぇ、ご愁傷様(ちーん)
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