第255話:薪木拾いと保管庫作成

 薪に最適な木と言えば、折れてしまった枝や枯れ枝。


 勿論、太さも欲しい所だが此処ここは異世界。


 乾燥の手間も切り分ける手間も全て魔法で解決してしまう為、リョータは1本まるまる加工しようと企んでいた。


 強い魔物が近寄らないとは言え、冒険者が偶然、この地域に足を踏み入れる可能性が残っているので、小桜には周囲の警戒をお願いしている。


【いくら何でも罰則が無いからと言って、

 無断で木を切ったりして大丈夫なのですの?】


「そんな10本も20本も伐採する訳じゃなくて、

 薪木として使うのに2本くらい、

 伐採しようと思ってるだけだよ」


 冬時期だけ暖炉を使うと考えれば、木2本分でも多い知れないのだが、如何せん、リョータは異世界こっちに転生して初めての冬。


 寒さを体感するのも初めてなのだ。


【それでしたら安心ですわね】


木を1本、伐採した所で思い出した事があった。


「あ・・・そう言えば、

 暖炉を使ってる家庭には保管庫みたな場所、

 あったな。

 端材で簡単に作っちゃうか」


 建築時に余った木を端材として使ってない部屋で保管していた為、追加で外側に雪や雨から切り出した木を守る空間を作ろうと考えたのだ。


 先に薪木として2本伐採し、自宅近くへと浮く《フロート》魔法で移動させ、保管庫を窓が作られてない空間に作って行く。


 勿論、建築魔法を使って、だ。


 簡単に柱を建て、棚になるようにして行き、棚を設置。


 一番上には屋根を作って完成させ、玄関を正面に見て左側に置いていた伐採木を右側へと移動。


 暖炉の大きさより少し小さめにウインドカッターを使って切り出し、置いて行く。


「あ・・・これって扉を付けた方が、

 横から吹き付ける雨や雪から守れるか」


 扉として使える端材は無い為、3本目の伐採を慣行。


 様々な魔法を駆使して板材を作って行き扉の形へと加工し、取っ手は何にしようかと悩み始めた所で小桜から念話が届く。


【主、どうやら冒険者が近づいて来てますわ】


(ありがと小桜、室内に戻るよ)


 家全体に不可視の魔法を施せば例え、伐採した木片が途中であったとしても、それすらも隠す事が出来る。


 万が一、隠れなかったとしても見た目を朽ちた木と見せかければ疑問に思われる事は無いと踏んでいた。


「さっき、何か気配が・・・

 したよな?」


 どうやら1パーティらしく、リーダー的存在の男性が確認の声を上げた。


「そうだな、あったけど消えた…

 てところ?」


「もしかしたら、

 人の気配に敏感なラビット系だったのかしら…」


 何かを探しながら徐々にリョータの自宅へと近づく一行。


 家を通らないと抜けられないと言う事は無い為、家があると気付かれる事は無いのだが、流石に木が置いてあれば不思議がられるのは必須だろう。


「う~ん…

 こんなに朽ち木が横たわってるのも変だし、

 誰かが彷徨ってる…

 って事ないよな?」


「あったら人の声が聞こえた時点で、

 助けを求める声すら出せるんじゃない?

 まあ、

 その人が気絶してたら『それ』も難しいけど…」


 ようやく3人の声がリョータの自宅付近から遠ざかって行き、目視でも通り過ぎたと判明した為、リョータは自宅を出ようとしたが、危険察知が反応し、そのパーティが何かいる…と気配を消して隠れているのに気付いたのだ

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