第256話:外と中での睨み合い、勝者は…

 リョータからは見えない位置に陣取った冒険者たちは、何か存在する…と睨んでおり、出て来るのを待ち構えているようだった。


 マズイ…不可視の魔法で見えないようにしてるけど、流石に魔法を使ったらバレるよね?


 念話を使って小桜に意見を求めた。


【(そうですわね…

  彼らでは対応が出来ない魔物が来れば、

  撤退の可能性は出て来ると思いますけど…)】


 隠蔽を施した状態で鑑定を掛けてみると、冒険者たちのランクはB。


 となればA以上の魔物が来なければ撤退などしない、と理解できた。


 これさ、湖にワイバーンさんを呼んだら撤退しないか?


【(あるじ…確かに可能性はありますが…

  て宜しいのですの?)】


 …だよね、まあ聞いてみるよ。


(隊長さん、

 不可視の魔法が施されてる場所でも、

 俺の魔力って感知できる?)


〖勿論だ。何かあったのか?〗


(あった…と言うより、

 森の中に作った俺の家の近くで冒険者が、

 気配を感じたらしく、

 居座ってるんだよ)


〖でしたら偵察部隊を湖へ派遣、

 致しましょう。

 リョータ殿が居住地にしている湖は、

 偵察地域でもありますので、

 見かけられる事も御座います。

 ですので疑われる事は無いかと…〗


(こんな事で動かしてしまうのは忍びないけど…)


〖心配なさらないで下さい。

 今の所、危険な事柄がありませんので、

 活動できない部隊も喜んで協力してくれる事でしょう〗


 何とかなりそうだな…と思ったリョータは、偵察部隊が来たら自分の家を認知して貰う事も念頭に置いて行動する事にした。



 * * * *


(何もいないのだろうか?)


(うーん…何か存在してる気配は感じてるんだけどなぁ)


 Bランク冒険者たちは討伐対象が存在しているのならば、依頼を受けて無くとも素材を売る為に討伐すれば良いと思い、待機しているのだ。


(もう少しだけ待って、何も出て来なかったら戻・・・・)


 戻るつもりで発言した瞬間、周囲にいたであろう、小動物たちが一斉に、リョータの家を避けた状態で逃げ、やがて上空からワイバーン5匹が姿を現し、草陰に身を潜めていた3人パーティは尻もちをついて固まってしまった。


「なっ?!(何でワイバーンが?)」


(こ、こ、此処ここっ…

 ワイバーン目撃情報がある湖じゃないのか?!)


(偵察隊だったらヤバイぞ!?)


 キョロキョロと周囲を確認するワイバーン。


 リョータから念話が飛ぶ。


(来てくれてありがとう。

 冒険者たちは、腰を抜かしてるらしくて逃げて無いんだ)


〖そうでしたか…ならば弱い魔力がある方向に視線を向けてみましょう〗


 冒険者パーティ絶体絶命の大ピンチ・・・となったのだが、脱兎の如く腰が抜けた状態ではあるものの、逃げ出し事なきを得る事に成功した。


「何だかなぁ…」〖情けないですな〗


 武器も置き去りにし、何かの素材すらも落として行ってしまった一行・・・まあ森で拾ったと伝えれば、持ち主に返してくれるカモ知れないと思い、保管しておくことにし、助力してくれた偵察隊に家屋がある事を認知して貰う事に成功したのだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る