第22話:書けるし読める

 ギルマスが書き示してくれているのは「確かに」こちらの文字なのだが、俺には「日本語」として変換されて見える。


 それだけでなく、俺が書き始めた文字が日本語ではなく、エーテルディアの文字として変換されて書き出されているのだ。


「やはり根本に文字は残っていたんだろうな。

 こんなにスラスラ記入できるって事を考えれば、

 としか思えないな」


 あれ?書けない筈なのに書けてる?!って事は、これもチートの内なのか!?


 マジか・・・凄く便利!


「じゃあ僕、

 この文字から依頼も受けられる?」


 疑問は「そこ」だよな?


 書いた文字が「読めて」はいるが依頼が読めるか?となると不安で仕方ない。


「そう、だな。少し待ってろ」


「はーい」


 どうやらギルマスは依頼書の中で、俺が受けられる低ランクの依頼を探してくれているらしい。


 戻って来るまでの時間は感覚的に1分・・・いや2分くらいだろうか。


「待たせてすまんな。

 討伐以外の依頼が少なくてな」


 採取依頼を探して戻って来たのだろう、1枚の依頼書らしき紙片を持って戻って来た。


「大丈夫です!」


 やっぱりなー。


 低ランクって「おつかい」とか「お手伝い」そして「採取」くらいしか無いって言うのが定番だもんな。


「取り敢えず、

 これを口に出して読んでくれ」


「はい」


 手渡された紙片には以下の事が書かれていた。


~~~~~

 採取依頼:毒消し草を出来るだけ多く


 達成条件:10本で銀貨1枚(10本を1束で受付)


 依頼主:ギルド


~~~~~


「んと~採取依頼で

 毒消し草を出来るだけ多くって書いてあって、

 達成条件が10本で銀貨1枚?

 10本で1束、依頼主はギルドって書いてある!」


 素直に読んだら「やっぱりな」と変な納得のされかたをしている。


 依頼内容は日本語に当てはめるならば「漢字」「平仮名」「片仮名」が書かれている状態、と言う事はリョータのステータスにある「Ex」や「∞」はマスターやシスターには「読めてない」可能性が出て来た(まあ数字は万国共通だろうとは思っている)。


 が現状は、現地の金子を手にする事と、後回しにしたまま忘れてしまうのは判り切っている。


「毒消し草は多く見つかる事が無いから依頼に出しているんだが、

 読めてるな」


「銀貨って何?」


 日本に当てはめると10円が銅製の硬貨なんだが、異世界ここの単位が不明のままなんだよね。


「ああ、そうか。

 通貨の事を覚えて無いんだな。

 エーテルディアでは共通の通貨で統一されていて、

 大きい方から白金、白銀、大金貨、大銀貨、金貨、銀貨、銅貨、

 小銅貨と区別されていて10枚単位で区切られるんだ」


「じゃあ小銅貨10枚だと銅貨1枚分に交換できるって事?」


「そうなる。

 で、小銅貨1枚を1ディルと言う人もいるんだ」


 ん・・・?日本で言う所の1円って言い方って事か。


「へぇ・・・。

 でも枚数で言われる事が多いんでしょ?」


「まあギルドで渡されたりなら枚数で言われる事が多いな」


「振り込む?」


 振り込め詐・・・げふん。ギルドカードに貯金できるとか?


「報酬が大金となると盗む阿呆いるからな、

 カードに振り込んで保管する事が出来るんだ」


 貯金って概念あるのかね?


 【貯金は日本あっち独特の方法じゃ】


「盗まれる事を心配しなくてイイんだね!」


 神様、助言たすかりました。


「学校に行くつもりがあるんだろ?」


「うん」


「今年は途中編入が出来ないから1年待たなきゃな」


 あれま、入学時期って言い方するのか判らないけど、それ過ぎちゃってたって事か(日本は4月入学だし、アメリカとかは9月入学だったっけ?だもんね)。


「冒険者として活動してても学校には行ける?」


 冒険者でありながら学生・・・何て許されるなら活動して資金を貯めておきたい!

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