第212話:正しい剣の使い方

 体力は成長すれば問題なくなるだろう、と言う事で剣の持ち方から振るい方までを教えて貰う事となった。


 ようやく「なんちゃって」から卒業できるな。


 先ずは持ち方。


 それは「なんちゃって」で持ってた持ち方で大丈夫だと太鼓判を押された(何故だ)。


 そして振るい方も10歳にしては堂に入っているらしく、今はそのままで良いと褒められてしまった。


・・・えっと…どういう事だ?


 見様見真似で構えた型が褒められ、持ち方が褒められ、剣捌きまで褒められるとか。


 コレもチートですか?!ですよね?ねっ!?


「それにしても形すら綺麗とか、

 リョータは剣を扱う家にいた可能性出て来るんだが…」


「・・・多分、それは無いと思うよ?

 だって僕が剣もったのって、

 孤児院に保護された日だもん。

 そんなで身に付くの?」


 と言うかぁ…日本で刃物もってたら「銃刀法違反」で捕まっちゃいますがな。


 剣道とか剣を使わずとも構えをする事くらは出来るしぃ、幼少期なら新聞紙まるめて叩きあう事はあったもん。


 まさか「それ」が正しい持ち方だったとは誰も思わんやん?


 まあ軌道修正したけどさぁ。


「「それは無いな」」


 団長と副団長の声が重なったが、概ね意見は一致しているのだろう。


 手のひらを見れば普通、「剣だこ」が出来る筈だが、リョータの手は綺麗だ。


 それを見たからこそ肯定できた。


 ただ「記憶喪失の孤児」剣術を「覚えている」事が不思議ではあった。


「それにしても体に染み込んでいたからだろうか、

 剣術は記憶から抜けて無いなんて不思議ではあるがな」


 ですよね~…記憶喪失なら剣術は元から身についてたって考えるしかないもんな。


「そう言ってやるな、

 記憶喪失だからこそ、

 それすら覚えてない可能性があるだろう?」


 副団長の言葉に団長が「それ以上、詮索するな」と牽制を掛けてくれる。


「そう、だな。すまんな」


「ううん。大丈夫!」


 お手数かけます団長さん。


 転移者だと疑いを掛けられなくて済みそうなだけでなく、転生者だと伏せてくれるんですね。


 中身が35である事は伝えてない筈・・・転生して異世界こちらに来たと言う事知って貰った。


 だからこそ、それ以上の追求を交わす手助けをして貰えると言えるのだ。


「まあリョータの場合、

 実戦練習ですらしなくて大丈夫だとは思うが、

 途中編入だからな、

 魔物討伐には参加して貰うぞ?」


「それって冒険者ギルドで受ける依頼と違いがあるの?」


「あぁ、そう言えば登録してるんだったな」


「うん、だから討伐依頼を見て受ける形と、

 違いがあるのなら知っておきたいんだ」


 騎士団として討伐に向かう時との違い・・・それは依頼を見て行き報酬を貰うのではなく、定期的に森へと入って行き魔物を狩り、危険な魔物がいないかを把握する為の討伐なのだ。


「簡単に言えば依頼を見て行くのではなく、

 定期的に森に入り調査し、

 危険な魔物を発見すれば討伐。

 報酬は騎士としての給与のみとなる、

 と言う事だ」


 なるほどな~…報酬は貰わなくていいから、倒す経験はしたいから丁度よかったかも知れないな、と思うリョータは騎士見習いの中で異質な考えだと気付く事はないだろう

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