第211話:Fクラス阿呆3名はknockoutされる

 立てられてしまったフラグを折る為、非公式ではあるが、リョータvs阿呆トリオの戦いが組まれた。


 本来なら1対3ではリョータが不利なのだが、トリオが不利になるのは明白だった為、トリオが怪我を負っても恨まない、と言う最低限のルールが決められた。


「では両者とも構え・・・…始めっ!」


 発したと同時にトリオはリョータの左右と前に付き動きを封じたかに見えた、が彼らが動く前にリョータは動いていた。


 正面Aの足を打ち付け動けなくさせ、右のBは右腕を打ち付け左のCは背後に回り首元へと木剣を当て勝負あり。


 リョータは「こてんぱん」にするつもりだったが、それ以下の動きで勝ってしまった。


 あれま、こんなにヘタレだと思わなかったが、簡単に勝ってしまって大丈夫かねぇ。


 その華麗な技と言うか動きに唖然としたのはFの生徒たち。


「「「「「すげぇ!!」」」」」


 そしてD~Sまでの生徒は


「「「流石だな」」」


 と感嘆の声を上げた。


 トリオは自分たちが「何もしない内に負けた」事すら気付いてないらしく…


「正々堂々、戦えよ!」「卑怯者!」「いってぇ」


 と三者三様の捨て台詞を吐き出している始末。


 おやぁ?自分の実力以下だと思ってた俺に対して「これ」はないよな?


 持っていた剣を捨て、殴りかかろうとしてるのだ。


 例えリョータに殴りかかったとしても、避ける事は可能で拳が痛い思いをするのはトリオなのだ。


 突き出された拳をしゃがんで避けると、Aの拳がBに、Bの拳がCにCの拳がAにヒット。


 バキっと言う音と共に3人が悶絶し、くずおれる。


「「「うわ・・・」」」


 声の主はリョータと団長、副団長だ。


「団長さん…これ…どうするの?」


「・・・どうもこうもないな。

 相打ちでknockoutどころでもないしな」


「リョータが勝者にも関わらず、

 殴ろうとしてコレでは…な」


「「「「救いようが無い」ですよね」」」」


 その光景を見ていた生徒たちの一致した意見は、Fクラスの最下位を走るトリオは退学扱いにして欲しい、だった。


「これは切実に考えねばならぬな。

 選定の儀で騎士になれる素質があるとされた者たちが、

 このように最下位を疾走したり、

 実力がある者に対してののしったりしては、

 元も子もない無いからな」


 根本的な改革を行わなければ、阿呆な輩が、騎士としての素質がある、と選定されてしまう可能性が否定できなくなった。


 勿論、能力的に低かった騎士候補いるのだが、努力を重ね実力でSクラスへと入った猛者すらいるのだ。


 だからこそ、Fクラス最下位をウロウロするトリオは異質なのだ。


 トリオの処分が団長の口から言い渡される。


「お前たち3名は、

 年下の騎士でもない者に負けた罪、

 騎士として努力を怠った罪、

 卑怯な手段を取ろうとした罪で退学処分とする」


「「「どうしてですか!」」」


「どう考えても如何様いかさまをしたが悪いだろ?!」


「いいや、お前たちが悪い」


「第一に10歳の子供に対して数的有利な戦いを挑んだ。

 挑んでどうなった?」


「・・・・・・」


 答えられる筈もなく、足や手に木剣が打たれた跡がクッキリと残っている。


 何か言いたそうにしているが


「何時、叩かれたか見えなかった者に反論の余地はないよな?」


 と言われガックリと肩を落とし、学園を去る事となったのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る