第121話:楽園の危機(1)
ゆったりとした空気と、心地よい風が室内を満たしていた。
本を捲る音だけがする室内。
小桜はウトウトと眠ろうとしていた。
ゴマが焦った声で念話を飛ばして来た。
『ご主人様っ!助けて下さい!!』
ど、どうしたぁ?ゴマ。
『ご主人様に助けて頂きたい地域があるのです。
そこにはユニコと呼ばれる生き物が暮らしてるのですが
肉食系の魔物が襲撃してるのです!』
「何だとぉ?!(憧れのユニコーンが襲われてるだと!?)」
【あ、
眠気が吹っ飛んでしまった小桜は、目をパチパチとしながらも自分の主人を見上げた。
そこには怒りを全身に纏い「最凶」な存在となったリョータがいた。
【主、落ち着いて下さいませ。
そのままの状態でユニコの元へ行きますと、
被害が甚大となってしまいますわ!】
その一言で落ち着きを取り戻したリョータ。
襲撃内容を聞きながら案内して貰う事にした。
「ゴマ、そこに案内しながら教えてくれるか?」
『勿論だよ!』
小桜はリョータが乗れるくらいに体躯を大きくし、騎乗スタイルでゴマの後を追いかける。
(権太、琥珀ぅ~、いるなら影に戻っておいで~)
[<はーい>]
戻った事を確認すると
「小桜、ゴマ、全力で向かって欲しい」
と願い出た。
* * * *
日本呼びで言うところのユニコーンが、王国を築いている場所が森の奥地にあった。
そこは緑豊かで水辺があり、生き物が暮らすには十分な場所だった。
強い魔物は滅多に来ない場所なのだが、何故か襲撃を受けてしまい、パニック状態と化しているのだ。
{急いで王子と姫を避難させるのだ!}
{逃げ出すにも行く手を遮られて…}
{くそう!何故、魔物防止の薬草が「消えていた」のだ?!}
{判りませんっ!
判りませんが王子と姫だけは守らなくては…!}
王と王妃になる予定のユニコーンを守るべく、多くのユニコーンが肉食系の魔物に体当たりしているのだが、山を背にして魔物と対峙してる為、逃げ場がない状態。
次々と魔物に「捕食」されてしまっている。
そこへゴマがリョータを伴い、駆けつけて来た。
リョータは魔物によって蹂躙されてしまったユニコーンを見て
「・・・
小桜から飛び降り、1匹で食い散らかしている魔物目掛けて突っ込んで行った。
【
突っ込んだ理由は簡単。
自分に意識を向けるためだ。
すると食事していた魔物は食べるのを止め、美味しそうな子供に意識を向けた。
魔物は…正体不明の変異種…
見た目は鬼退治に出てくる鬼そものの。
だがSSクラスで討伐対象となりうる存在でもあった。
小桜、権太、ゴマ…俺がコイツと対峙している間に、周囲で怪我をしているユニコを避難させてくれ。
【魔力操作も取得してない状態で無茶ですわ!】
頼む!ユニコーンは
だから…だからコイツだけは許せない!
アイテムボックスから剣を出すと鬼人の右腕に向かって振り下ろす。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
腕目掛けて振り下ろした剣は、鬼人の右腕をスパっと切り落とした。
「ぎゃぁ!」
鬼人の緑の血を浴びてしまったが、気にせず左腕も狙いを定める
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます