第122話:楽園の危機(2)

 斬り落とした筈の右腕が再生して行く。


「はぁ?!何で再生して行くんだよっ!

 鑑定!!」


 対峙しつつも鑑定で再生した原因を探った。


~~~~~~~~~~

鬼人きじん

・○△□の変異種

・ランクSS

・魔核を破壊しない限り

 再生され続ける

・討伐するなら大人数

~~~~~~~~~~

 一部、文字化けを起こし読み取る事が出来なかったが、大まかな内容を把握できた。


「・・・マジか・・・」


あるじ?】


「小桜、こいつ再生能力を持ってやがる」


【でしたら全員で挑みませんと被害が出てしまいますわ】


「権太、ゴマ手伝って!」


『[<はい!>]』


 臨戦態勢を整え目の前にいる鬼人と相対する。


 ゴマが足元に走り出し噛みつき、権太が器用に腕を駆け昇ると爪を使って引っ掻く。


「ぎぃやーーーーーー」


「小桜、魔核は人と同じ左胸?」


【そうですわね…

 検索で出ませんか?】


検索サーチ


 かけて見れば一目瞭然。


 人と同じで核は心臓の中に納まっていた。


「魔核って固いよね。

 だったら…」


 ゴマと権太が鬼人と戦ってくれている間、完璧に倒す方法を模索し、答えを導き出した。


「みんな逃げて!

 鎌鼬カマイタチ(中)!」


 思い描けば作れてしまう魔法を生み出し、中くらいの強さの鎌鼬カマイタチが鬼人に向けて放たれた。


 縦横無尽に鎌が襲い掛かり、手足が切り刻まれただけでなく、心臓に収まっていた魔核すら砕いてしまった。


         パキーーーーーーーン!


『[ご主人様]』【主…】


「・・・威力…強すぎた」


 数十本もの木々が鎌鼬カマイタチの影響で倒されてしまってはいるものの、それ以外に被害は見受けられなかった。


{凄い・・・}


 ユニコの王子と姫は鬼人を倒してくれた子供に尊敬の眼差しを向けている。


「何匹か食べられてしまったから凄くないよ?」


 倒してしまった木々をボックスに収納しながら返事をするが、ゴマに案内して貰った時、既に数匹のユニコが犠牲になっている光景を目の当たりにし、怒りに任せて戦うつもりでいたが、小桜に指摘され、冷静さを持って対峙する事が出来た。


 それでも全員を救えなかった事が悔しいのだ。


{それでも我が国の王子と姫を守って下さった}


「え…?ここって…」


{知らずに助け出して下さったのですか。

 ここは我らが楽園に御座います}


{お礼をさせて下さいまし}


 美しい毛並みのユニコ…どうやら彼女がユニコの姫君らしい。


「お礼なんて要らないよ?

 襲撃されてるのを見つけたのはゴマだし、

 鬼人の気を引いてくれたのも権太たちだし…

 俺は何も・・・」


{いいえ、鬼人を倒して下さいました。

 彼奴きゃつは核を破壊せねば死にません。

 私たちでは核を破壊する事は叶いませんでした}


「姫様」


{そちらに控えているのはフェンリルの姫ですね?}


【…気づかれてしまうのですか。

 えぇ、今はリョータ様の従魔ですわ】


{でしたら私たちの子を従魔にして頂けないでしょうか?}


「いやいや、どうしてそうなるの?!

 楽園で平和に暮らしてただろう子供のユニコを誰とも知らぬ者の従魔にするって、

 どうして決断できるんだよ!」


 ペガサスには面会していたがユニコは初めて。


 楽園にいる子供のユニコを従魔として欲しいと望まれてしまい、戸惑いしかないリョータであった。


{ですが、お礼をしたくとも…それしか思い浮かびません}


「・・・判ったぁ…。

 俺に使役されても良いって思う子なら…」


 こうして「何故か」ユニコを使役する事になってしまったリョータだが、内心は「やった~♪」なのである

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る