第100話:空から見る景色
バサ…バサ…。
羽の音と風を切る音だけがリョータの耳を刺激する。
「うわー…すげぇ!」
飛行機…とまでは言わないにしても異世界で空の旅を出来るなど、思ってもいなかった。
左右を流れる雲、眼下に広がる家屋敷や人々、グリフォンが空を行く事に気付いていたとしても気にする事が無さげな雰囲気。
全てがリョータからすれば新鮮でならなかった。
”あまり身を乗り出すでないぞ?
我に揺られ気分を悪くする者すらおるのでな”
…乗り物酔い…か。
確かに乗り慣れてない魔物だから気分、悪くなるのも判らなくは無いな。
”のりものよい・・・異世界の言葉か”
うん、日本だけでは無かったけど陸、海、空と乗り物には事欠かなかったからね。
一部のお金持ちは宇宙に行く権利を買ったり出来るくらいに発展している世界だから、
”色々な乗り物がある世界から、乗り物が少ない世界に転移させ・・・”
転移じゃなくて転生ね。
”何だと?!生まれ変わったと言うのか!?”
うん、何故かね10歳に転生してたんだ。
元々は35歳だったんだ俺。
だから子供の話し方になってはいるけど、感覚的には大人だから変に思われちゃうんだよ。
”そうか…そう言う理由だったんだな。
どうりで魔力が膨大な筈だ”
グリフォンには魔力の多さ、判ってしまうんだね。
そろそろ王都が見えて来たのに気付いたリョータ。
知識豊富なグリフォンとの
初めて見た上空からの景色、グリフォンの羽が意外に触り心地が良かった事、空の旅でアヴェルを超える事が可能だと言う事。
これなら、あの令嬢に小桜を狙われる事は無いな…と思った所で思い出してしまう。
「あー!!小桜を影に控え損ねたぁ」
そう…言い合いをしている時に気付けば良かったのだが、小桜はグリフォンに乗る前に控えさせるつもりだったのに、それを怠り置き去り状態にしてしまったのだ。
”その「こざくら」と申すのは使役した魔物か?”
はい…フェンリルです。
”なら戻っても時間的に余裕が生まれるであろうから、
一度もどろうぞ”
(小桜ぁ~ごめーん。今から戻るね?)
(今、気づいたのですか?!
グリフォンでしたか、
彼らを扱う者たちは未だ、
言い争っておりますが無視して宜しいのですね?)
(うん、そのまま待ってて)
それほど進んではいなかったのだろうか、言い争う2名の姿と離れて待つ小桜の姿が見え、グリフォンは小桜を影に呼べる位置まで下りてくれた。
近づいて来た小桜から
【はぁ…グリフォンの王、
教えて頂き有難うございました】
と、とんでもない言葉が発せられリョータは王都の乗り場まで呆ける事となってしまったのは言うまでも無いだろう
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