第101話:王立図書館

 王都のグリフォン乗り場にはグリフォンだけでなく、ユニコーンに似た馬の体に角を持ち、羽を有する魔物乗り物として使役されている雰囲気があった。


(これって…もしかして…ユニコーン?)


’あら、わたくしはユニコーンと言う名の魔物では有りませんわよ?

 言うならばペガサスですわ’


 俺の声を拾ったで有ろうユニコーン…もといペガサスが正体を教えてくれた。


 真っ白な毛並みの美しいペガサスが移動する者を乗せるべく、待機しているようだった。


”久しいのぅペガサスの女王よ”


 そう言ってペガサスだと発言した魔物に声を掛けたのは、リョータを乗せてくれたグリフォンの王。


 王と呼ばれる魔物2匹、同時に逢えるとは思ってなかった。


 口をポカーンと開けた状態になったのは言うまでも無い。


「名も無き村からの移動者だな?」


「う、うん。

 その村を管理してた人たちが口論しちゃって、

 勝手にグリフォンが移動してくれたんだけど、

 大丈夫かなぁ」


 心配な事柄はグリフォンを管理していたAとB。


 小桜を影に戻した時にも口論は続いていたらしく、リョータが飛び立っている事に気付いて無い可能性がある。


「何やってんだ、あいつらは…。

 大丈夫だ、お前が罰せられる事は無いから安心していいぞ?」


「じゃあ罰せられるのって…」


「あぁ、客そっちのけで口論した奴らだよ」


 盛大な溜息を吐き出した王都の管理者。


 戻る時も乗り場は同じだと教えて貰い、ついでとばかりに王立図書館の場所も教えて貰った。


「王立図書館なら王城近くにあるから

 王城を目指せば判るだろう」


「ありがとー!」


 王城は高台にある為、誰もが目印に使うらしく、何処に行くにも王城を目指せば路地に入ろうとも場所を把握するのは容易い、と言われた。


 何だろなぁ…。


 緊急依頼の時には、そんな余裕が無かったからか、色々と見なかったから気づかなかったんだろうね。


【そうですわね、

 あるじは首根っこを掴まれて連れて行かれたのでしょう?】


 うっ…それ言わないで?


 そう…あの時、王城へ報告しなければならない、と聞かされ逃げ出そうとしたのだが、報告をするにもリョータがいなければ困る、とばかりにブラッドが「こっそり逃げる準備をしていた」彼の首元を掴みジタバタした状態で運ばれてしまった。


 リョータに取って「黒歴史」の1つになってしまったが、今日の目的は報告では無く調べもの。


 回復に使う薬草、魔力不足に陥った時に使う薬草、毒の薬草、魔物除けの薬草、それらを知る為に図書館へ来たのだ。


 小桜は入れないだろうから今のうちに影に入ってくれる?


【判りましたわ】


 影に戻ってくれた小桜、リョータは見え始めた図書館に感嘆の声を上げる事となる。


「すっげぇー…大きいな」


 コで始まる会員制の某有名スーパー…とまでは言わないが、それくらい衝撃的な大きさの図書館が鎮座している。


 入るのに手続きは不要で、誰でも閲覧が可能らしく、本を借りる時「だけ」カードが必要になると予測した

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