第450話:閑話~地上で起きて居た騒ぎ

 天上界…とは言い難いが別空間で神々が「やらかし」を注意されて居た時間帯は夜では有ったが、地上…現実時間では朝で有り、「やらかし」た場所が場所だった為、何かしらの影響が出るのは当たり前。


 何が起きて居たか、と言うと作業場として用意されて居た場所が、見た目は変わらず中身が拡大してしまう…いわば空間が拡張された状態で異世界から「とある施設」が「移設」されて居たので有る。


 それが「何」かを知るのは勿論リョータだけで、真っ先に目撃したのは、見本として送り込まれて居た車を詳しく確認し何がどうなってるか?を確認する為に訪れた職人だった。


「んなっ?!」


 本来なら大声で「何だこれは!」と言いたい所だが、そこは町中に作った作業場、大声を出そうものなら騎士に通報され捕縛されかねないと考えたからこそ、一言で止める事が出来たとも言える。


(いっ…一体、一夜で何が起きたと言うんだ?先日まではクルマと呼ばれる品と材料と…と少なかった筈…)


 目の当たりにした光景に戸惑いながらも見回すのは、馬車職人の一人ローガン。


 たまたま偶然、早く来てしまったがために、その光景を目撃してしまったのだ。


 そこに見えて居るのは「異世界にほん」の施設で有りつつも「異世界こちらの世界」に「似通らせた」施設のように見えるのだ。


 車輪(タイヤ)を作る工程からタイヤとエンジンを支える部分を作る工程、車体を作る工程、フロントガラス(正面ガラス)、サイドガラス、方向指示器からブレーキランプまで、ありとあらゆる車を作る工程が「そこ」に有る。


 とは言えエーテルディアには無い施設なのでローガンは口あんぐり…。


「・・・まさか・・・これ異世界とやらの神々の成せる技…なのか?」


 問いただそうにも早朝すぎてリョータを呼ぶには忍びなく、来てから聞くしか無いだろうな、と諦めの境地には至っても他の職人たちが大騒ぎしかねない…と考え、入口扉に「関係する者以外、入るべからず」と書いた紙片を貼る事を考えた。


「リョータ殿なら適正な言葉を知って居るとは思うが、今は早朝過ぎる、訪問して見て貰って驚いて貰う他…なさそうだな」


 ローガンの考えは本来なら正しく無い、しかし、今の彼に正論など、思いつく筈がない程の衝撃的な光景なのだ。


 まあ、エーテルディアに住む者以外だとしても、小さな空間に大きな施設が「そっくり移設」と言うか「転移」と言うか判らないくらいの衝撃が襲ったのは言うまでもなく、それがリョータに起きる「ヤラかしの代償」とは思って居なさそうでは有るが…はたから見れば「それヤリすぎちゃうか?」では有るのは確実

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