第449話:封印される「前」にヤラかしてた神に更なる鉄槌

 天照から太陽マークを額に施され、トボトボと自身の宮(若しくは寺)へと戻って行く神々の中で、ひときわ内心に汗をタラタラ…では無く、ダラダラと流して居る神が居る。

 それは阿遅高日子根神あじすきたかひこねのかみの隣で萎縮してる大物主大神おおものおぬしのおおかみだ。

 自身の宮へ戻ろうとしているようには見えるのだが、その足取りは「何故か」重そうである。

阿遅あじす殿…ちと知恵を拝借できぬか?」

 ボソりと呟いた声音は、何やら怯えて居るようにも受け取れる程の音量だったので、取り合えずとばかりに

「此処で話せぬ内容のようだな…」

 と異空間の中でも異質な場所へと移動しようとしたのだが…

「・・・おぬしら…わらわが何も気づかぬとでも思うておったか?」

 ひんやりとした空気と共に現れた天照に2神はギョ…となり

「「い…いえっ…滅相も無いっ…」」

 と肝も心臓も冷やしてしまい「これは白状しなくては宮には戻れぬな」と悟った。


「して、何をヤラかしたのだ?」

 ヤラかしたと確信してるからの言葉では有るのだが、気づかれてしまって居る事に驚きを隠せないのは阿遅。

「うぇっ?!や、ヤラかしたのは私では有りませんよ?!」

 と疑いの眼差しを向けられている事にアタフタとしてしまう。

「あら、態々白状して下さいましたわね?」

「「・・・あ・・・」」

「どちらかが何かしらヤラかして居るだろうとは思ってましたけども、

 まさか大物主大神がヤラかして居たとは…。

 で?何をしましたの?」

「…それは…その…良太殿の助けになれば…と思いまして…

 日本のとある廃工場をそのまま移築しまして…」

 移築と聞いて眉間にシワを寄せたのは仕方ない。

「…一体、何を移築した…まさか…

 まさかと思いますが…自動車工場を移築したとか言いませんわよね?」

 顔面蒼白…その顔色が「是」と言う事を現していた。

「は?ちょっと待ちなさい大物主殿。

 私の許可なしに『建築』なさったのですか?」

「いや…だって…儂とて商業をも担う神じゃぞ?

 建築の神で有る阿遅殿の許可を得ずとも立てられる神では無いかね?」

 それを言われてしまっては何も言えなくなるのが阿遅。

 だからこそ

「誰の許可を取る取らないは別ですわ。

 問答無用!そなたには更なる罪を背負って貰いますわよ?!」

「えっ?!ちょ…待ってっ…天照様まって下さっ…」

 天照大御神の天罰…それは額に太陽マークが刻まれた上に上書きされるように「良太が活躍する姿を見る事が出来ない」と言う制限を加えたのだ。

「あ…あ…りょ…良太のっ…良太の活躍があぁぁぁぁ」

 ガックリと凹んだ姿となった大物主。

とは言え、地上で大いに騒がれ問い詰められるのは良太で、例え本人が「何れ作るつもりで居た」と言っても「実際に出来た施設が移築され実在して」居るのだから「たまったもんじゃない」だろうと天照はリョータに詫びを入れるため、行動に出る事となったのだった

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