第46話:フェンリルの願い(1)

46話のみ傍点やルビがウザイとの指摘がありましたので、

「」にて傍点を()にてルビ表現させて頂きます

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森で彼女を保護した、と報告し俺が借りている宿泊エリアに連れて行けるか聞いて見る事にした。


「僕の部屋に彼女…連れて行っても大丈夫かな?」


「保護中は君の監視下なら連れ歩く事を許されてるわ。

 元気になれば森に戻すのでしょう?」


「うん、この子が望めば仲間がいる場所まで連れて行くつもりだよ」


「リョータ君は優しいのね。

 動物が苦手な宿泊者はいなかったと思うから、

 そのまま連れて戻って大丈夫よ」


「ありがとうございます!」


 抱きかかえているのが「フェンリル」だと気付かれていないようで安心した。


 確かフェンリルの討伐依頼「も」掲載がされていた筈。


 そうなると、彼女も討伐対象になりかねないからな。


 せっかく助かった命を簡単に殺されてたまるかってぇの。


 リョータの内なる声はフェンリルである彼女にも聞こえていた。


(人間は悪い者ばかりだと、

 長老がおっしゃってたけれど、

 そんな人ばかりではないと言う事かしら?)


「この子、

 何が主食なのかな?説明かもん!」


【基本的に人と同じ食事で構わないかと思いますが、

 如何せん幼いのでミルクが妥当かと…】


「確かに見た目は子犬だもんなぁ…

 嫌だったら拒否の意思を示すだろうから、

 どこかでミルクを購入し…

 あぁ、この子を部屋に残して出るのは忍びないな…」


(…この人は…優しい。優しすぎるわ)


 眠ってると思い込んでいるリョータ。


 腕の中で目覚めた彼女は深く眠っていると思わせる為、力を抜きリョータの腕に身を任せた。


「あれ…?寝入ってしまったのか。

 だったら少しの時間、

 部屋に居て貰っても大丈夫かな」


 自分の部屋として使っている空間に戻って来たリョータは、開ける(オープン)と言って扉を開け、手を使わずに開ける方法を「覚えて」しまった。


 起こさぬように、優しくベットの上に小さな体を寝かせると、規則正しく寝息を立ててくれ、ホッとし扉を音がしないように閉め買い物に出かけて行った。


『気付いているのでしょう?神様』


【なんじゃ…儂の存在にも気づいておったか。

 流石フェンリルの姫じゃな】


『私を保護してくれた男の子は何故、優しいのかしら?』


【それはな、

 異世界で生きて来た影響じゃよ。

 彼奴(きゃつ)は見た目年齢では無い魂で転生しているのじゃよ】


『…見た目10歳よね?中身が大人だと言う事でしょうか』


【そうじゃ、

 あやつめは魔法の無い世界で生きて

 魔法の世界に何も知らず転生しておる。

 故になテイムする事も強制したくないと思っておるようじゃ】


『望めばしてくれる…と解釈して良いのかしら?』


【そうじゃな、

 そなたに癒されておったからのう】


『判りましたわ。

 戻って来たら従魔になりたいと望んでみますわ』


【念話して見るが良い】


 そんな事が決められているとは知らないリョータは、近くでミルク…牛乳が売られているのに気付き、購入して戻って来たのだ。


「お…気づいたんだな。

 良かった飲むか?」


 床に購入して来た小さめの器を置き、牛乳を移してフェンリルを下におろしてやると、ゴクゴクと飲んでいる姿を見て安心したリョータは、その姿にも癒されるのだった

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