第331話:実物が転移した経緯を説明

 レイとアイザック…そしてリョータが執務室に集まり、リョータは遮音の魔法を掛け早速、実物が「届けられてしまった」経緯を説明する事にした。


「実は俺の世界には800万もの神様がいる、

 と言われていて、その神様たちが…

 ちょっと処か、そうとうヤラかしてしまってね」


 苦笑いするしかリョータを見て察したのはレイ。


「あー…何となく…でいいか?

 もしかしなくても品が送られて来たとか?」


「そのまさかだ。

 まあ俺が生きてた時代の品じゃないけどな。

 自動車が送られて来ただけでなく、

 道具類も入ってた」


「「・・・・・・」」


 2名の商人がフリーズする事態になったのは、仕方ないだろう。


 異世界むこうで普通に使われているであろう品が、次々とリョータに送られてしまったと言うのを聞いたのだ。


 固まるのは致し方ないと思うリョータである。


「レ、レイさん…?とレイさんのお父さん、大丈夫?」


 問いかけてはみたものの、固まった状態。


 さて、どうしたものか…と思案しようとした所でアイザックが正気を取り戻した。


「あ…ああ、自己紹介を忘れてたな…

 私の名はアイザックだ。

 その…じどうしゃ…だったか、

 何処で見せて貰えるだろうか?」


「見せるのは構わないんだけど、

 それを走らせて乗り心地も体験して欲しいんだよね。

 でもさ、馬車通りだとでしょ?」


 そこでレイさんも正気に戻り


「「・・・目立つな」」


 と声を揃えて答えた。


「実物を見るだけなら、あの空間でいいんだけど、

 流石に走らせるとなれば長距離で、

 見られる事なく…となったら深夜しかないだろう?

 だが、この世界で深夜に門の外へ行くのは禁止…

 だよな?」


「あぁ…認められてはいないな。

 だが、王都へ出立した途中で野営…は有り得る。

 とは言え、そんな状況で実験するのは…」


「だから、この世界に精通してるレイさんたちに、

 何処か走らせる事が出来る空間は無いか…

 と言う事を聞きに来た訳」


「「なるほど」」


 納得は出来たものの、現状では「そんな場所は存在しない」のだが…


「リョータ殿の魔法を使って走らせる事は可能ですか?」


 と走らせる事が出来るのかを問いただされてしまう。


「勿論、走らせる事は可能だ。

 だが日中なら他者に見られる事になる。

 そうなれば『アレは一体何だ?!』って事になるぞ?」


 見た事のない物体が通り過ぎれば「そうなる」と言うのは予想できた。


「だから相談に来たのか。

 しかし…うーん…」


 デスヨネー…馬車が通れる場所で誰も通らない場所…何て所は、閉鎖地域くらいしかないし、それだと長距離での乗り心地は体験できないもんなぁ…。


 悩みまくる商会長とレイ…どちらが先に動くかと見ていると


「見るだけなら作業空間で大丈夫か?」


 実物を見るだけでとどめるのもアリかと方向を転換させた。


「見るだけなら十分だな。

 異世界あっちなら山を切り開いて道を作って実験して…

 と言う方法も取ってはいたけどな」


 異世界ならではの方法もあるが、こちらに持って来るのはどうかな?と言う思いで、最後はボソボソと喋ったにも関わらず、アイザックに拾われてしまい、山を切り開く方向に走るとは思ってもいなかったのである

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