第330話:色々と思案したが解決せず、相談する事にした

 限定不可視と言う又もや規格外なスキルが構築されてしまったが、目下の目標は職人にれを見て貰い、触って貰う事であり、実際に「乗り心地」を試してもらわなければならないと考えた。


「この限定不可視ってのを掛けたらさ、

 普通の道路ってか道でも走らせられないかな?ナビさん」


『恐らくで宜しければお答えしますが、

 気付かれないとは思います。

 しかしながら他に馬車などが通った場合に、

 支障が出てしまう可能性が高いかと…』


「じゃあ限定不可視と透明化の合わせ技なら?」


『…それですとマスターの精神的苦痛が増してしまうかと。

 職人と商人でしたか…

 数名を乗せて動かすつもり…ですよね?』


「あー…納得した。

 動き出すと驚き、周囲が見えてるのに、

 ぶつからずに走らせる事が出来るなど、

 有り得ないと驚かれる…って事ね」


『はい。

 その懸念は出るかと…』


「リッツェ周辺で往来など無い道なんて…

 無いよね?」


『……1か所だけ御座いますが距離がありません』


「え…?あっ!あそこ?

 確かに近いし距離は無いけど…

 流石に獣道を行くのはマズイよなぁ」


 危険なキーワードがポツリと台詞に出たのに気づいた小桜が


【いくら誰も来ない場所が良いからと言いましても、

 獣道を走る事に賛成は出来かねますわよ?】


 と忠告した。


「判ってるよ小桜様。

 走らせるなら王都に続く道だけど、

 人の往来が少ない時間帯って夜中だよね?」


 それにはナビが答える。


『勿論、往来は無いに等しいですが、

 門が閉じられてしまいます。

 どうやって出るおつもりですか?』


 門が閉じられる事を「知らなかった」リョータがガーン!と言う顔になってしまうのは仕方ない。


 彼の場合、門が閉じられていようが、外出禁止な時間帯であろうが、転移が出来るからこそ気づく事は無かったのだ。


「出る事まで考えてなかった…

 俺には転移って魔法があるけど、

 レイさんたちを乗せた状態で車ごと転移しちゃったりすれば…

 確実に驚かれるってか恐怖されるよねー」


 白目をむきそうになってしまうが、現状は走行場所の選定。


 レイやアイザックに聞けば解決するかも知れないと考えを変え、商会へと向かった。



 * * * *


 到着すると何時もの如く、顔パスで通され


「リョータ殿、今日は何事ですか?」


 と出来たばかりな作業場兼保管所の前にレイが立っていた。


「おお!凄いね…ここが作業場で保管場所になるの?」


「ああ。そのつもりで作った。

 馬車の大きさを隠すなら、

 これくらいないとな…」


「あのねレイさん、1つ相談事があるんだ」


 真剣な表情で見上げてくるリョータの顔を見て「何かしら提案するのか」とくみ取ったレイは


「じゃあ執務室で聞こう」


 と誰かに聞かれないよう配慮してくれた。


 レイとアイザックそして職人たちが驚き喜ぶ事になると想像しながらも、話す内容を頭の中で整理し、まずは実物が送られて来た経緯を説明しなきゃな、と腹を括った

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