第262話:道具類の購入と場所確認

 廃村まで、それ程の時間を掛けずに到着してしまう。


「・・・何これ…こんな近くに村があったなんて…」


 リョータの声を拾った小桜も


【人族の住まいを全て把握している訳ではありませんが、

 これ程までにも存在が消えた場所など初めてですわ】


 と感想を漏らしてしまう程。


 人の往来はある、人の流れも何となくある…だが、村と言える状態ではないのだ。


 家屋は「掘っ立て小屋」のようにボロく、今にも崩れそうな場所すらあるように見え、フリマのように路上で商品を売ってる店主すらいる状態。


 うわぁ…村としての機能は全く持ってなさそうだ。


 焼き払ったものの、悪い歴史は払拭ふっしょく出来なかった…って所か。


 鉱山に挑む者たちの為に作られた、と断言しても納得できる村の造りとなっており、リョータは道具を路上で広げてる人の所へと足を向けた。


 どんな道具を揃えればいいかすら知らないもんなぁ…。


 初心者お勧めの店・・・なーんて情報がある訳がない、となると店主に相談するしかないと思っているのだ。


 鉱石採掘って言ったら思い浮かべられるのは鶴嘴つるはしくらいだが…。


 リョータの視線が捕らえてる先、店先にあるのはピッケル、ハンマー、ザイル、鶴嘴、道具を入れるであろう袋に鉱石を集める為の袋と結構な種類が置いてあるのだ。


「お?小さい採掘者だなぁ。

 初めての採掘か?」


 丁度、店主に声を掛けて貰えたので色々と知る為に聞く事にした。


「うん、採掘の依頼があった時の為にも、

 道具は持ってた方がいいかなって思って、

 商業ギルドで道具がある事を教えて貰ったから見に来たの!」


「そうか、そうか。

 子供だと高い鉱山へは行かせて貰えないだろうが、

 経験を積む為の山には入らせて貰えるし、

 道具が必要なのは当然だ。

 じゃあワシが見繕ってやろう」


「いいの?」


「ああ」


 まるで孫息子に道具を選ぶかの如く、嬉しそうに子供でも使える道具を選んでくれてる雰囲気を感じてるリョータ。


 これ…万が一さ、俺が冒険者ランクSだって知ったら凄い驚かれるんじゃ…。


【万が一も千が一もありませんわよ?】


 小桜から最もな指摘をされ言葉が詰まってしまう。


 うぐぅ…。


 内心ヒヤヒヤしながら見守り、ランクの事を聞かれる事なく無事、道具を揃えて貰えた。


「これで安心して採掘へ挑めるからな」


「それは嬉しいんだけど、

 初心者でも登れる鉱山って直ぐに判るかなぁ」


「あー…初めて昇るなら何処か知らないよな。

 鉱山地図は貰ってるか?」


「うん!」


 子供のランク(FからDくらい)で挑める場所にバツの印が付けられて行くが、リョータの場合はS。


 最高ランクの場所も知りたいとは思ったが、周囲の大人に驚かれる事を危惧して、積極的に知るつもりはなかった。


「一応、子供でも挑める場所にバツこの印を付けたが、

 危険すぎる場所にはドクロを書いておいたからな」


「それって、もしかしなくてもSランクの人しか行けないような鉱山?」


 知っておいた方が良いだろう、と言う判断をしてくれたのだろう店主は、ドクロが書かれている場所は、毒ガスが発生してSでも危険だと知る事が出来、Sランクが行くような場所しか点在してない事も教えて貰えたのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る