第414話:元商人の屍食鬼(グール)の結末は…

 雪化粧が施されようとして居る森の中、見た目は何も無い空間では有るが、リョータの自宅が作られており、従魔となった保護動物たちも気配に気づきリョータの元へと集まって来る。


あるじ…又ですの?】


「そう言わないでくれよ。

 今回の屍食鬼グールは恨みじゃないっぽいんだよ」


【どう言う事ですの?】


『リョーちゃんココたち怖いって言ってる』


 小桜以外は影に控えて。


『[<{はい}>]』


 見た目は目的地も無く彷徨い歩いて居るように見えてるのに、まるでリョータが「そこに居る」と言わんばかりに直進して来る屍食鬼。


 リョータは室内では有るが、完全に気配を消し様子を見る事にした。


「何処ダ…何処カニ居ル筈ダ・・・」


 キョロキョロとして居る元商人…だが、彼に気付いたのは「とんでもない魔物」だった。


「キシャーーーーーーーー!」


 へ?!


 気配を遮断して居たリョータは、その魔物が近づいて居る事にすら気づいてなかった。


 スルスルと木の上から降りて来たかと思うと、一気に屍食鬼を飲みこみ「他に獲物の気配がしたのに居ない」と言うように周囲を探す姿に背筋が凍った。


 ヤバイ…気づかれたら100%ヤバイ!!こいつS4以上の気配がするぞ?!


 今まで知り得て居た情報にS4以上の魔物は居ないとされてたのに、目の前の魔物は鑑定が出来ない程のランクを表示…と言うかS5と出て居た。


 エ、エス5が居る何て知らないぞ?!てか何で「こんなの」に今まで誰も「出会わなかった」んだ?!


 気配は消して居るが、アタフタしてしまった(勿論、脳内でだ)。


 屍食鬼1匹…魔物扱いになるから1匹だが、1人を飲みこんだだけで足りる筈もなく、雪でも実を付ける植物を食らいつくし、ねぐらにして居る地域へと戻って行ったのを確認して、ようやく息を吐き出した。


「ぷはぁ~…あんなのが居る何て知らなかったし、

 知らされてないよな?」


【え…ええ。

 わたくしもS5が居る等、

 聞いた事も有りませんでしたわ】


 小桜も知らぬ魔物…物体的にはアナコンダっぽいのだが、正確な名前までは鑑定できなかった。


 何故なら鑑定してしまうと魔力を感知され、リョータ捕食対象になりかねないと感じたからだった。


 では何故、S5だと判ったかと言うと、標的が居たからに過ぎなかった。


 そう…屍食鬼をターゲットとしてロックオンしてくれてたので、意識がリョータに向かって無かったからこそ、ランクだけは見る事が出来たのだった。


 屍食鬼に狙われなくて済むようになったのは嬉しかったが、S5な魔物が存在する事は誰かに知らせないと駄目だ…と思い、誰か居たっけ?と思い出した時、出て来たのは侯爵家と伯爵家とクロフォード商会。


 ならば騎士科に属し、懇意…とまでは行かないものの、手紙のやりとりを1度でもした事が有る、ルーカス・フェルナンデスに連絡を取ろうと決意したが、どう報告すれば良いか考えあぐねた。


 何せリョータが遭遇した場所は「誰も来ない森の中」しかも「誰も住んで無い筈の場所」だからだ。


 説明したとして、納得して貰えないかも…と顔色を悪くさせるも報告しなきゃ…と腹を括った

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