第312話:閑話~話し合いを終えた商会内で…
様々な事柄を提案し、屋敷を後にした、リョータの背中を見送ったクロフォード家の全員が
「「「とんでもない子供と、
知り合ったのではない(かしら)だろうか」」」
と言う意見で一致している。
「父上の意見としては、
このままリョータ殿の意見を反映して、
職人を選んで行く…で宜しいですか?」
父であり、会長と言う立場になりはしているものの、実質的に商会の顔として動く人物へと視線を向ける。
「根本はリョータ殿の意見を入れねばならんだろう。
しかし彼は私たちの考えで選定条件を決めるよう言ったではないか」
父は苦い顔をしたものの、自分たちの商会に「抱え込む職人」を選ばなければならない重責が、のしかかっているのだ。
「確かに…そのような事を言ってましたわね」
母は見た目が子供なのに大人な話し方をした少年…いや青年を信じられない存在なのでは?と言う思いを抱いている。
「わたくしはリョータくんに頼まれた事柄を実行できそうな職人に、
心当たりがありますの」
「せいまい…だっただろうか?それが出来る職人と言う事かい?」
レイはサミーが詳細な話し合いをする妨げをしたくない、との思いから離席しようとしているのに気づいていた。
「ええ。職人なのだけど…
少しどころか、かなり癖がある方なのよ。
だから秘匿の事柄をお願いしたとして、
漏洩する事はないと思うわ」
「…それでも誓約はして貰った方が安全ではないかな?」
「判ったわ、それで受けて下さるのでしたら…
わたくし行ってみますわね」
結界も遮音も解除した室内…クロフォード家の重たい空気だけが残される。
サミーは目的の御仁がいる地域へと向かったようで、結婚を祝う為に集められた品々を、移動するスタッフたちの声や物が移動する音だけが聞こえてくる。
「…はあ…とんでもない事を提案されたものだな」
「ええ…とは言え、有用な事柄ではありませんか?」
父と母が口火を切る。
「確かに有用な事かも知れませんが…
彼が言う道の整備も、
お願いする事になるのですよ?
道の整備…誰も今まで考えた事が無い事柄を誰か、
請け負ってくれるでしょうか…」
彼らの懸念事項は、道路整備…何処が整備しているのか知らない、と言われたから気づいた訳ではないが、今まで誰1人として考えた事がないのだ。
と言う事は「道路整備」を「何処が請け負う」のか…決められている訳ではないのだ。
それをあたかも「ある」かの如く、話を進めてしまった自分たちを悔やんだ。
「職人に我々が願い出てみる…か」
現状では道路を整える職人は…いないに等しい。
ならば新たな職として定着できるよう、職人に相談するのはありなのでは?と思い行動する事としたのだった
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