第325話:パニくるリョータ

 いや…ちょっと…めて欲しい…。


 ただでさえ巻き込まれまくってるのに…職人さんにも絡まれるの?!


 いくら何でも…それだけは…避けたい…いや避けさせて下さいぃぃぃぃ。


 真っ青な顔色で頭を両手で抱え「イヤイヤ」と左右に頭を振る主の姿を見た小桜が


【八百万の神様、一体、彼に何を言ったのです?

 何を言えば…こんな状態になるのですか!】


 と問いかけたのだが、リョータの内なる声は神々にも届いており、どんな状態であるかを把握し、申し訳なさ満載で…


『…い・・・いえ…その…ね、

 送った車を見本にし、解体して貰って…

 これから作るであろう品に生かして欲しくて・・・』


 と正直に吐露する。


【…判っておいでですわよね?

 リョータ様が巻き込まれ体質になっておられるのに…

 そう言う事をしてしまえば、何が起きるのか…

 予測してますわよね?!】


 怒り心頭な小桜に指摘されずとも、リョータが色々と巻き込まれていたり、トラブったりしてるのを見知っている。


 それなのに「送りまくり」の「増やしまくり」で更には、異世界に「ない品」である自動車すら送ってしまった。


 プチパニックから解放される事なく、パニックが続いているリョータを救う方法は癒しだろう…とは思うが神々は


『申し訳ない事をしてしまったとは思う、

 が品々を生かして欲しいと言うのは事実だ。

 小山になってしまった品は、

 残せば道具を作る時に有効活用出来る。

 いや、して貰って構わない』


 と謝罪と提案をしてくれた。


 返事すら出来る状態ではない主人に代わり小桜が


【パニックが解消されましたら、リョータ様に提案致しますわ。

 ですので、これ以上、送らないで下さいまし】


 と神々との会話を終えさせ、パニックから戻れなくなったあるじに小さくした体をスリスリ…もふもふな毛並みを摺り寄せ、違う方向へと意識を持って来て貰おうと試みた。



 * * * *


 ~1時間後…ようやく小桜のモフモフが自分の体に擦り寄っている事に気付き


「・・・あ・・・れ?こざくら…おれ・・・なにしてたっけ…」


 と反応を返したが、その反応は幼児のように幼げな雰囲気だった。


【覚えてますか?主】


「なにしてたっけ・・・?あぁ、かみさまからいろいろと…

 送られたんだっけ」


 と、ようやく起動したらしい。


【送り過ぎたであろう品々は、

 必要最低限な量以外を神々が、

 持ち帰って下さいました】


「え?そうなの?!」


 と先ほどまで「小山」状態だった魔石が「集まってたの、これだけでした」と言える量へと変化していた。


「本当だ…減ってる…」


 自動車は消えてないので圧はあるのだが、パニックを起こす程ではなくなった。


【これから、送られてしまうであろう品は、

 主のすまほ…でしたか。

 そちらに送られる筈ですわ。

 勿論、適量ですわよ】


 驚かない量なら有り難い…と思えたリョータは、テントに鎮座した状態となった自動車をそのままにし、テントから出て一緒に収納し、片手分の魔石をハンターへと持って行く事にしたのだ

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