第324話:異世界から送られし品たち

 小山な魔石とプラスティック…背後には「何故か明治から大正に掛けて」走っていた形に近い、馬車型の自動車。


 更に白米を炊くのに必要であろう「土鍋」も見本としてと「届けられて」しまっている。


 アレもコレも、と送られたとしても「現地職人が作れなければ意味が無いのに」と思ってるリョータと、送れば「何とかしてくれそうだ」と思ってる神々…。


「ねぇ…小桜ぁ。俺の目が可笑おかしくなってるのかな?

 次々と…届いてる気がする…」


 効果音…などしないのだが、感覚的に「フォンっ」と送られてくるような音が、聞こえては品が増え続け、それを止める手段を未だ思いつけないでいるのだ。


【こ…これは…流石に…

 おやめ頂けませんでしょうか?

 異世界ちきゅうの神々】


『おぉ、異世界そちらにはフェンリルがいる、

 と言うのは本当であったのだな。

 いやぁ僥倖ぎょうこう僥倖。

 しかしなぁ…送るなと言われても送りたいと思う神々は、

 八百万おるのでな。止まらぬのだ…すまぬ』


 どの神の言葉か判らなかったがリョータは、一番有名な神様の名で止まらないだろうか、と発言した。


「と…止めて下さい天照大御神あまてらすおおみかみさまぁ!!」


『『『『あ、天照に助けをうた?!』』』』


 天岩戸あまのいわとに隠れた過去を持つ天照に「まさか」助けを求めるとは思ってなかった神々。


 姿を持っている訳では無いので汗がタラ~…と言う状況を見れない筈だが、真っ青な顔色になっている状態では?と思えるような声音なのだ。


『リョータ君の願い…わたくしが叶えましょう。

 いい加減に送るのを止めなさい!』


 増え続けていた品々がピタリ…と送られなくなった。


「た、助かりました天照様。

 送って下さりたい、と願って下さるのは有難いのですが、

 いくら何でも多すぎです。

 こんな一気に送られてしまいますと、

 異世界での保管場所にも困ってしまいます。

 例え異世界こちらで無限大に収納できる、

 テントがあるとしても、

 他人を招き入れる事は不可能に近いのです」


 テントに日本レベルな状態で招き入れる事は出来ない。


 招いた瞬間、命を狙われかねない程、危険な世界だと言う事を神々は忘れていた(らしい)。


 サー…と血の気が引いたであろう金山彦神かなやひこのかみ


『す…すまぬ…そちらの危険度を忘れておった…』


 と危険が隣り合わせな世界に行ってしまったリョータの事を思い出したかの如く、発言した。


「…限度を超える贈り物は流石に危険すぎますが、

 おれ…私が欲しがるような発言をした際は、

 ある程度の量でしたら送って頂いて構いません。

 と言うより、異世界商店に送れば、

 買う…と言う行為で異世界こちらに送れる筈でしょう?」


 尤もな問いかけをされ、八百万の神々は「そうだった」とスマホにアプリを作っていた事を「思い出した」のだ。


 それすら忘れる程、贈り物をし続けてしまったのだ。


『そうね…リョータ君にはアプリと言う形で、

 此方の品を買えるようにしてしている事すら忘れ、

 車まで送ってしまいましたものね。

 ですが、その車を職人に解体しても構わないから、

 参考に…と提供できましてよ?』


 と、とんでもない事を天照が発言してしまい、リョータはプチパニックを起こしてしまった

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