第219話:討伐結果報告(1)

 適性あり…であろう残りの候補生と呆けてしまった副団長を伴い、騎士たちは詰め所へと戻って行く。


「一体、どのような魔物が浅い場所に?」


 そう聞いたのは呆けてしまった副団長では無く、駆けつけた副団長。


 呆けた副団長をAとし、駆けつけた副団長をBとする。


「当初、

 候補生にスライムから討伐を始めてもらい、

 徐々に強い魔物への対処を学ばせるつもりだったのだが、

 Aクラス以下の者は、

 技量を持ち合わせておらず、

 スライムで怪我を負ってしまい、

 これ以上の対策は難しいだろう、

 と言う判断を下してる最中に、

 Aランクの魔物が近づいてる事に

 魔法学校から編入した生徒が気づき、

 候補生以下に応援要請して欲しいと願った…

 と言う訳だ」


「その生徒が気づいていなければ、

 多くの候補生が犠牲になってしまった可能性がある、

 と言う事ですか」


 Bは気づいてくれたのがリョータである、と知らないのだが、その気づきがなければ、多くの怪我人や下手したら死人が出ていたかも知れないのだろうなと、溜息を吐き出した。


 あれま、駆けつけてくれた副団長さん幸せを逃してる感が否めないが…余程の事が起きたって事だろうねぇ。


 生息域を知らないから断言できないけど、熊や狼が人家に近い場所で出ないって事だけは確か見たいだね。


「そうだ、

 リョータが気づいてくれたからこそ

 臨戦態勢を整える事が出来たんだがな、

 (Aを親指でクイっと示して)コイツが守っていたリョータを

 前面に押し出してしまってな…」


「何て事を・・・」


「まあリョータなら余裕で対処できると私はのでな、

 何も心配はしてなかったんだが、

 その強さを見て何者なのかと疑ったって事だ」


 リョータと聞いて「ああ、あの時の子供か」と知ってる者は納得し、知らない者は誰?と言う顔になるものの、彼が対応してくれなければ、優秀な候補生が怪我を負ってしまっていたと言う事に気付けているので、それ以上の追求をする事は無かった。


「副団長たる者が候補生を何者かなどと、

 追及するとは言語道断だぞ。

 本来なら、

 その場で処分を団長から下されても仕方ないのだと、

 理解できてなさそうではあるが…」


 団長とBが会話を交わしてるにも関わらず、未だリョータが何者なのだろう、と言う顔つきでAがリョータの背中を見てるのだ。


 見られてんなぁ…主に背中だけども。


 殺気が無いだけありがたいと思うしかねぇか。


 警戒は怠っては無いけどさ、未だ危険は去って無いって判ってんのかねえ…。


 ランクの高い魔物が浅い位置で発見された、と言うイレギュラーが起きたと言うのに未だにリョータへ意識が集中してしまっているA。


 魔物除けが成されてる門の中へと一行団体が入った瞬間、リョータが門番に対し


「直ぐに門を閉じて!

 Aランクの魔物…

 ブラックベアが仲間の行方を捜してるみたい」


 と注意喚起し、馬鹿力でも壊す事が不可能な門を閉じて貰う事に成功し、Aは注意喚起を怠っていた事を自覚し、血の気を失った顔で団長の方へを顔を向けた

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