第346話:骨(元問題児)の正体
執務室…では狭すぎる為、人目を気にする事なく、何かしらを確認できる場所と考えたのは、生徒たちに開放するための鍛錬所。
そこへとリョータを伴って移動していた。
「何かしらあったから来た…て所だろうが、
誰かが後から来るって事、ないか?」
「一応、その場に居合わせてくれたブラッドさんが来る予定だよ」
「居合わせた…?」
「うん…偶然、討伐帰りに気づいて一緒に対応したから…」
対応…と言う言葉で「ある程度」の把握は出来たのだろう。
少々どころか、かなり複雑な顔つきになってしまった。
「とりあえず、此処で何が起きたかを教えて欲しい」
自宅に戻ってから違和感を感じた事、違和感の正体が室内では判らなかった為、外へ出たが、それでも魔物なのかすら判らず、まさか…と思い人を探してる時に例の子息が
「団長殿…」
「…ブラッド殿…リョータが屍食鬼となってしまった人物と、
対峙した所へ駆けつけてくれたとか」
「えぇ…私が目撃した時は、
何故か一太刀を入れる事が出来ない状態でした」
「…まさかとは思うが…」
「その、まさかだよ。
彼の能力が、右手につけた魔物の能力を受け継いでた」
「それだけじゃねぇ…いや…ありません。
お、私が持ってるミスリル剣で歯が立ちませんでした」
「敬語を使わなくていい。
ミスリルが役に立たないなど…信じられぬが…
それだけ強かったんだな」
「鑑定したら3Sだったよ」
「さん・・・えす・・・良く討伐できたな」
「偶然ね。魔術学校で見た拘束魔法を覚えたから出来た事だよ。
拘束できたからからこそ僕が首を刎ねて、
ブラッドさんが心の臓を貫いてくれたんだ」
「団長殿、一応…確認してくれないか?
骨となってしまってはいるが、
右手が無い状態の骨となりうる人物は、
1人しかいないのだろう?」
「・・・そうだな・・・リョータ、
その骨と言うか問題児だったモノは…?」
「一応、骨のまま運べないと思って森の木を加工して、
骨を人の形で運ぶ方法を思いついて…」
「…なるほど、では出してくれ」
マジックバックなら木を1本くらい、入れても余裕だと言うのは常識らしく、ボックス持ちだとバレる事はなかった。
棺の形は異世界にないので、驚かれるのでは?と思ったが、流石に骨を人の形で運ぶには「それ」しか方法が無いので、目を見開きはしたが、驚きの声を上げる事はしなかった。
「……アンディー・ムーア…ムーア子爵の令息だな」
何やら団長と言うか、騎士特有の鑑定のようなスキルがあるのだろう、じぃ…と骨を見て、名前を出したように見受けられた。
「名前、聞かなかったから直接、ここに持って来たんだけど…
ムーア様の邸宅に僕とブラッドさんで訪問したとして、
追い返されないかな?」
「あー…爵位持ちの家に平民が訪ねて行けば追い返されるって事か、
同行しよう」
こうして団長が先導する形で屍食鬼と化した問題児の骨を子爵邸へと届ける事となった
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