第250話:囲い込まれそうになりまして…
「すまないね…料理人だけでなく、
両親までもが君の持参した品を知りたいと言い出して、
出迎える必要は無いと言い聞かせたのだが…」
開口一番、そう謝罪したのは勿論、ルーカス様。
「・・・いえ…ただ…
僕は平民で記憶がハッキリしてませんので…
もしかしたら不敬な態度を取ってしまうかも知れ…
「「き、記憶喪失ですって(だと)!?
聞いてませんよ(ないぞ)ルーカス!」」
綺麗にハモったなー…って他人事じゃないし。
説明しなかったの?あ、もしかして「しなかった」じゃなく「し損ねた」?
「父上、母上、
説明不足になってしまい、
申し訳ありません。
リョータ殿は記憶喪失で
保護されたと聞き及んでおり、
学ぶ事を望み、
選定の儀を経て魔法学校に入学したのですが…
彼が規格外の魔法を使うらしく、
注目を浴び、学ぶ事すら出来ない状態となり、
途中ではありましたが騎士科へと編入したので御座います」
まあ「騒動」を「知ってる」からこそ言える事だけどねぇ…今は騎士として動かざるを得ない事まで伝える辺り、流石だわ。
「魔法の生徒から注目を浴びてしまう程の力を持っている…と?」
侯爵様が疑問に思うのも仕方ないよねー。
何せ情報なしに転生してチートだったんだもん、しかも全職業適性あり…これだと「後見したい」って言って来ないかね?
「力を持ってるかは判り兼ねますが…
逸れドラゴンが襲撃したのを覚えておりますか?」
あれ?ジャーチが襲撃した事って…あぁ大騒ぎになったもん、知らない訳ないか。
「ああ。学校が標的にされ、
騎士団長を初めとした冒険者ランクの高い方が、
討伐に当たったと…
まさか…」
「その1人が彼です」
驚愕の表情になる侯爵様…夫人は気絶寸前で何とか意識を保ってるみたい。
あーあ・・・変なフラグ立ったかも。
【回避不能ですわよ?】
傍に控えてくれる小桜から指摘されなくても「回避不能」と言う事は理解できる。
「き、君の後見人になり…
「申し訳ありませんが、お断りいたします」っ?!」
言い切る前に被せるかの如く拒否したリョータ。
ルーカスも暴走しそうになった父親に冷めた視線を向ける。
「流石に父上と言えど、
彼の後見人になろうと思わないで下さい。
学校で嫌だと言う程に魔法の強さを知ろうと言う、
馬鹿な考えを持った生徒たちに絡まれ、
人間不信・・・とまではなっていないようですが…
近い感覚になっているのですよ?
私が彼の作った食事を食べたいと望み、
料理人が作りたいと望んで招いたと言う事をお忘れですか?」
ようやく、本来の目的が達成できそうな流れに戻ってくれたは良いが、リョータが注目を浴びた状態で料理人に教える事になりそうだなと、思ったが為にクギを指しておく事にした。
「作り方を教えますが、
色々と聞きそうな雰囲気なので、
聞かないで頂きたいのと、
料理人さんの聖地に入らないで下さいね?」
影からでも見るつもりの侯爵と厨房入り口で見るつもりだった夫人が、バツの悪そうな顔になり、そそくさと私室へと戻り、ルーカスとリョータが同時に溜息を吐き出したのは言うまでも無い
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