第32話:恐喝されるも未遂に終わる
異世界転生4日目、相変わらずギルド4階にある宿泊施設の世話になっている俺は、昨日購入した防具を付けて見る事にした。
「ん~~~~!いい天気!!」
声が元通り出るようになった!
馬鹿力で締め付けられてたら転生したてで死んでいただろうなぁ。
ステータスを確認した時、気づいたのがランク表示。
「異世界あるある・・・で
低ランクはFから始まるって事だろうけど、
説明ききそびれたな。
聞いたら教えてくれるかな?」
教えて貰うの忘れた、と言えば教えてくれる筈ではあるが、最高ランクがSで終わるのかSSまであるのか・・・はたまたトリプルSまであるのか知っておきたいと思ったのだ。
「流石にS4つ・・・は無いだろうけど、
3Sまではありそうだよね」
服を買い忘れているので、今日は着替えを購入しに向かい、宿(安い宿)を探そうと考え行動を開始する。
防具を付けて1階まで降り、ギルド玄関から出ようとしたのだが
「おい坊主ちょっと待て」
「・・・なぁに?」
すんげぇ嫌な予感しかしねえ。
「金銭、持ってる癖にギルド宿泊すんのなら、少し出せや」
流石「巻き込まれ体質」ではあるが、典型的な「お馬鹿」さんだ、コイツ。
後ろにギルド職員のお兄さんがいるのに、脅してきやがった。
「えー嫌だよ。
第一ギルドで他人の報酬を横取りしたら駄目って言うのあるんでしょ?
職員のお兄さん」
脅しを掛けて来た男性が、後方に顔をギギギと音がしそうな勢いで振り向き、顔色を青くさせる。
「と言うより子供から金銭を脅し取る行為が許されぬ事柄だな。
自警団に引き渡すか?」
お兄さんの後ろがギルド入口にあたるのだが、そこに自警団らしき人物が立ち寄ろうとしてる姿が見えた。
「ちょ、ちょっと意地悪し「・・・お願いします!」うわっ!」
入ろうとしていた自警団員(2名)が両腕をホールド。
逃げ出せぬよう固定した(偶然って怖いね)。
「こいつが何をしたのか聞かせて欲しい」
そう聞いて来た自警団の人に対して、ギルド職員さんが
「リョータの報酬を横取りしようと脅しを掛けたんだ」
と僕の名前を伝えて金銭が「取られそうになっていた」と告げてくれた。
「リョータ、間違っていないか?」「うん!合ってるよ!!」
否定しようとしている雰囲気があったから、言い出す前に発言したら顔面蒼白になっちまった。
「お前のランクを剥奪し1から修行し直しの処分を下す」
「そ、そんな!あんまりだ!!
せっかくDランク目前だったのに!」
あれま、普通に過ごしてたらDで上位の依頼を受けられてただろうに。
ざまをみろってんだ。
「いくらランクが高くても最低の事をすれば剥奪されるのも当然だ」
昨日、俺を助け出してくれた冒険者の人が、呆れた声を掛けて来た。
「昨日は助けてくれて有難う!」
「喋れるようになったんだな。
で?コイツ何しやがったんだ」
「んとね、僕の報酬を寄越せって言って来たの」
「・・・馬鹿め。
他人の報酬を横取りしようとすれば、
罪人の証明がギルドカードに刻まれ、
E以上には就けないんだと教えられてる筈だ」
え・・・?とてつもなく強くても、犯罪者のレッテル貼られたらE以上になれないの?!
「どんなに努力しても、
剥奪前のランクに戻れない・・・で合ってる?」
「おう。ってか、お前、
何も教えて貰えて無いのか?」
「・・・うん、文字を教えて貰って、
読めるのが判って直ぐに依頼、
受け付けたんだよギルマスが。
だからランクが何から始まって何まであるって知らないんだ」
恐喝されそうになったものの、職員さんと冒険者のお兄さんによって事なきを得る事が出来た(典型的な「お馬鹿さん」だから偶然、捕縛できたんだろうな)
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