第393話:専用道具を預かる
ムーア卿に話が伝わって居たのだろう、応接間でムーアが待ち構えて居るのが見受けられた。
マジか…執事だっけ?家令だっけか、どう呼んで居るか判らないけど、彼が話をしてくれたから待ってくれてた…って所だろうけど、早すぎね?
「おお、執事から話は聞いておるから、こちらを預けておこう」
「え…?か、簡単に僕を信用して大丈夫なの?!」
普通なら信用を勝ち取った相手に何かしらを預ける…と言うのなら理解できるのだが、何度か対面しただけ…子供相手に重要な何かを預けるなど、有り得ないと思ったからこそ驚愕した声を出してしまったのだ。
執事が傍に居るから子供な話し方をしてるのだが、素が出そうになってしまう程の衝撃発言だったようで、執事も「だ、旦那様!?」と言う顔になって居る。
ムーアが手にしてるのは印籠のような形の品で、思わず内心で「この紋所が目に入らぬか!」と言う台詞が出て来てしまった。
「
「ちょっ…直感ですか?!い、いくらなんでも…それは危険では?」
「いくら何でも旦那様、直感で
有り得ません!」
しゃくろう…?もしかしなくても、爵位を持つ人なら誰だと判る印籠の事…?
「ブルータス…彼が子供だから信用できないとでも言うのかい?」
えっと…こんな事、此処で言うのは筋違いだろうけど「ブルータスお前もか」だっけ?何かのセリフに有ったよね…。
それはさておき、今は成り行きを見てないとな。
「クロフォード商会の仕事を請け負って居る…と言う信用度は有るでしょう。
しかし、子供に爵籠を預けると言う事が納得できないのです」
そりゃそうだよね、子供に爵位を持ってる人からしたら、大事な品を「預ける」なんて事は、今まで有り得なかっただろうし…。
「…リョータ殿は、我が山に住むと言われる、
始祖竜様に会う事が出来たそうだ」
「・・・え・・・ええぇ?!
し、し、し、始祖竜様に…ですか!?」
あれま、それ教えて大丈夫なのか?まあ長年、ムーア家に仕えて居る執事なら口外する事は無いだろうけど、それって結構、重要事項じゃないの?
「そうだ、彼は広い敷地を開拓したいと願い出て、
我が山を開拓させて欲しいと言い、
迷いの森に住まう始祖竜様と面会し、
開拓の許諾を頂いたそうだ」
「し、しかし、そのような事柄を信用する訳には…」
「・・・許可を貰ったって言う証拠なら、
左手に刻まれてるよ?」
始祖竜が左手に魔法陣を刻み、許諾を得て居ると証明できる…と言われてた事をすっかり忘れて居たのだが、執事の一言で思い出し、許可なら貰ってるよ?とばかりに左手を執事に見えるよう差し出した。
「失礼させて頂き…ま・・・始祖竜様の許可状…でした。
リョータ様、申し訳ありません」
「僕が子供だから疑われるって判ってましたから、
大丈夫です。ですがムーア様、
本当にお預かりして宜しいのでしょうか?
そちらの…えっと爵籠でしたか、
何が出来るのかすら知らないのですが…」
爵籠が何の役割を果たすかを聞いたリョータは、それを預かった状態でクロフォード商会へと向かうので有った
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