第404話:新ギルマスからの謝罪と報告

 新しく就任したで有ろうギルマスはリョータの顔を見るなり


「前任者のギルマスから不当な扱いを受けて居た子供…

 と言うのは君だね?」


 と声を掛けられ子供な話し方に戻す事にした。


「う、うん…不当と言うか、何と言うか…」


「前任者は厳しいと言われて居る地域へと向かう事が決まり、

 私が新しく就任する事になりまして、

 何をしたのか判りませんが申し訳なく…」


「いやいや、その前任者…名前、知らないから言えないけど、

 その人が一番悪いんだから、

 新任者で有る貴方が謝罪する必要…

 無いと思うんだけど…」


「ああ、すまないな。

 名を告げ忘れて居た。

 私はレスターと言う。

 平民だが白羽の矢を立てられてな…」


 仕方なしにギルマスを引き受けざるを得なかった…と言う顔をして居るので、

こちらも苦笑するしかない。


「それでレスター殿は我がクロフォード商会に、

 どのような要件で?」


「ああ、あの阿呆が何やら企んで居るようだと報告を受けてな、

 ギルドを出た所から追いかけて来たんだよ。

 まさかクロフォード商会に脅しを掛けて、

 依頼をして居るリョータ殿を脅すとは…

 思わなかったがな」


「え・・・どうして僕が依頼してるって知って…」


「そりゃあ有名だろうが。

 クロフォード商会で専属職人を選び何かしらしてる…

 と噂されてるくらいだぞ?

 まあ、それが貴殿だとは余り知られては居ないがな」


「あ…商人だからクロフォード商会で誰かが何かしてる…

 て言うのを知ってるって事?!」


「そう言う事だ。

 貴殿が関わって居ると言うのは、今知ったがな」


「・・・そう・・・なんだ・・・」


「そうそう、あの阿呆が伝えたかも知れないが、

 ギルドにオイルのような品が持ち込まれてな、

 その液体が何かが判明したら貴殿に伝えるつもりだ。

 そして、そのオイルはダンジョンで階層ごとに、

 違うオイルがドロップするそうだ」


「え…?1階層にAと言うオイル、

 2階層にはBって言う感じで…

 別々のオイルがドロップするって事!?

 それって何処のダンジョン?!」


 食い気味にレスターへと質問したリョータは商人では無く、冒険者の雰囲気になってしまって居る。


「え?!ちょっ!?オイルに食いつくって事は、

 何かしらに使えるカモ知れないって事なのか?」


「判明しなければ『そうです』とは言えないんだけど、

 探そうとしては居たんだ」


「今の所、3種類くらい見つかって居るのだがな、

 職員の中に鑑定が使える人物が1人しか居なくて…

 届いた日から有給休暇を取っちまってな…」


「ど、どれくらいで判明するかな?

 それとダンジョンの場所も知りたいです」


「来週には戻って来る予定で、

 ダンジョンはアヴェルに生まれたと言って居たな」


「あ…ダンジョン都市…だっけ」


「アヴェルは領主が変わっては居るが、

 見つかったダンジョンに入る事は誰でも出来るらしいから、

 行ってみて確認するのも有りじゃないだろうか」


 そう言われ、ギルマスから提案を受けたリョータは一旦、開発の一部を停止した状態で維持して貰い、必要なオイルをドロップするのかを確認しに行く事を決めたが冬場のダンジョンは閉鎖される事を知らずに向かってしまうのだった

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