第82話:実験的長距離転移に成功

 実験して見なければ正確に移動が出来るか等、判る筈も無い。


 だからこそリョータは、実験的な転移魔法を使ってみる事にしたのだ。


「森の中を転移で行き来できるんだったら、

 これに越したことはないよな」


【何にせよ、転移魔法が正確に使えるかを実験なさるのでしょう?】


 うん、そうしないとリッツェの森に家が作られた…と言う目撃情報が出て大騒ぎになるのは目に見えてるからね。


 そうなると安全かつ人目が無くて知ってる場所…となればティングか王都になるでしょ?


【そうですわね。

 最初の場所が何処か判り兼ねますが、

 人が来る場所に作ってしまえば、

 騒がれてしまうのは必須ですわね】


 だからさ、ティングの奥地…出来れば湖が近くにあれば嬉しいんだけど、先ずはティングに行けるか否かだもんね。


【確か初めて転移したのはリッツェの森から入り口付近・・・でしたわよね?

 遠くへの転移は初めてですもの、慎重に把握して下さいませ】


 間違って人前に転移しない為に、森への転移を試みる事にしたリョータ。


 移動先をイメージして移動魔法として覚えてしまった言葉を口に出す。


「転移!」


      シュンッ!


 一瞬でイメージした場所…ティングの森へと移動し、周囲に誰もいない状態での移動に成功していた。


【・・・あるじ・・・とんでもない能力ですわよ?!】


「うん…その自覚は今、持った」


 木々に囲まれてはいるが、確実に討伐などで足場が固められた空間で、1軒分の家を建築できるスペースがあり、少し離れた場所に湖らしき水たまりすら見えているのだから、想像した場所への移動を、と言う事が発覚した瞬間となった。


【この転移魔法は誰にも気づかれては駄目ですわね。

 その事を自覚して下さいませ】


「まさかさ、思い描いた場所へ移動できるなんて思わないじゃん。

 それが出来てる事じたいが危険だって事くらい判ってるよ」


 取り敢えずはリッツェの森で数本、ティングの森で数本の木々を伐採すべく、リッツェの中央部(リョータが目を覚ました場所)へ戻る事にした。


 一瞬で中央部に飛ぶ事にも成功したリョータは早速、建設に必要な木材を5本ほど、伐採すべく選定して行く。


「あまり樹齢が長い木よりも若い木の方が建設する時に扱い易いか…」


【樹齢が短い木材ですと、

 確かに長持ちしない可能性がありますわね】


 適度な年数が経過したで有ろう木を5本…風魔法を使って切り倒す。


「ウィンドカッター(弱)」


 スパッスパッ…と狙った5本を切り倒し、ボックスに入れて行き、ティングの空間へと再び飛ぶ。


 ログハウス…作りたいな~、とか思って考えた魔法を使ったら出来たりして?


【いくら何でも・・・それは…有り得るかもしれませんわね】


 流石に5本では作れないだろうとティングでも5本、アヴェルに移動して鬱蒼うっそうとしている場所から10本、取り敢えずの本数は30本にして置き、土台から作って行く事にした

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